大動脈弁上狭窄症の外科的矯正;52年の経験
Surgical Correction of Supravalvar Aortic Stenosis: 52 Years' Experience.
Roemers R(1)(2)(3), Kluin J(1)(2), de Heer F(2), Arrigoni S(3), Bokenkamp R(1),van Melle J(4), Ebels T(3), Hazekamp M(1)(2).
Author information:
(1)1 Department of Cardiothoracic Surgery, Leiden University Center, Leiden, the Netherlands.
(2)2 Department of Cardiothoracic Surgery, Academic Medical Center, Amsterdam, the Netherlands.
(3)3 Department of Cardiothoracic Surgery, University Medical Center Groningen, Groningen, the Netherlands.
(4)4 Department of Cardiology, University Medical Center Groningen, Groningen, the Netherlands.
World J Pediatr Congenit Heart Surg. 2018 Mar;9(2):131-138. doi: 10.1177/2150135117745004.
目的:
大動脈弁上狭窄症は稀少な先天性異常である「単一パッチテクニック」、「反転Yパッチによる双洞増強」(両方とも非対称的矯正法)、「3パッチテクニック」、そして「スライド大動脈形成術」(両方とも対称的矯正法)などは大多数の外科医が大動脈弁上狭窄症を矯正するために用いているテクニックである。これらのテクニックを比較した2〜3の研究によれば、他より勝っているテクニックは見出されていない。本研究の目的は、オランダにおける4か所の先天性循環器外科センターの内の2か所における大動脈弁上狭窄症の外科的矯正に対する52年間の経験をレビューすることである。
手法:
我々の2か所のセンターで1962年から2014年までに大動脈弁上狭窄症の矯正手術を受けたすべての患者のカルテを遡及的にレビューした。患者が受けた手術テクニックによって患者を分類した。これらのグループを再手術から解放された時点あるいは死亡した時点で比較した。
結果:
全部で49人の患者が対象であり、23人(46.9%)は非対称群に含まれ、26人(53.1%)は対称群に含まれた。非対称群で20年後に生存していた患者は80%(標準誤差:0.091)であり、対称群は85%(標準誤差:0.085、P=.163)であった。20年後で再手術から解放された患者は、非対称群で88%(標準誤差:0.079)であり、対称群は71%(標準誤差:0.107、P=0.313)であった。
結論:
患者グループにおいて、大動脈弁上狭窄症に対する外科的テクニックの違いからは、生存率や再手術からの解放に有意な差は見られなかった。母集団の生存者と比較して、大動脈弁上狭窄症からの生存者は著しく少ない。明らかに、大動脈弁上狭窄症は良性の疾患ではなく、その患者はその他の生存者に比べてもっと頻繁に経過観察されるべきだと思われる。
(2018年3月)
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