ウィリアムズ症候群における軽度大赤血球症
Mild macrocytosis in Williams-Beuren syndrome.
Yu E(1), Feinn R(1), Bona R(1), Brink B(1), Sindhar S(2), Kozel B(3), Pober BR(4).
Author information:
(1)Frank H. Netter School of Medicine, Quinnipiac University, USA.
(2)Washington University School of Medicine, Department of Pediatrics, USA.
(3)Washington University School of Medicine, Department of Pediatrics, USA; National Institutes of Health, National Heart, Lung, and Blood Institute, USA.
(4)Frank H. Netter School of Medicine, Quinnipiac University, USA; Massachusetts General Hospital, USA; Harvard Medical School, USA. Electronic address: Pober.barbara@mgh.harvard.edu.
Eur J Med Genet. 2019 Aug 13:103740. doi: 10.1016/j.ejmg.2019.103740. [Epub ahead of print]
目的:
ウィリアムズ症候群における軽度大赤血球症の発生とその頻度を想定する。
研究設計:
年齢1歳から69歳のウィリアムズ症候群患者179人の全血球数データを集め、そこには傾向を評価するための共通パラメータも含めた。 z変換を行った平均赤血球容積を、各研究機関の参照範囲や、全国健康栄養調査2013-2014版(the National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES))から得られた統制データと比較した。
結果:
1/3を少し超える(35%)被験者が大赤血球症の発症記録を最低一件は有していた。全血球数パラメータを母集団の期待される平均値と比較したところ、期待値に比べて平均赤血球容積(MCV)と平均赤血球血色素量(MCH)は大きい一方で、Hct(ヘマトクリット=血液中の赤血球容積の割合)とRDW(赤血球容積分布幅)は小さかった。ウィリアムズ症候群の場合、平均値としては赤血球MCVの分布は対照群に比べて右にシフトしている。この状態にもかかわらず、臨床的に複雑な症状のウィリアムズ症候群患者1名を例外として貧血はない。平均赤血球容積の上昇の原因となる可能性を秘めた変異に関して利用可能なデータが不足しているが、明白な原因は明らかになっていない。
結論:
貧血を伴わない軽度の大赤血球症はウィリアムズ症候群患者のある程度のサブセットに見られ、平均赤血球容積の分布カーブの右方シフトにつながっている。ウィリアムズ症候群で単独大赤血球症を有する患者に出会った医療従事者は、さらに精密検査を行って観察をすることを検討すべきである。
(2019年8月)
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