ウィリアムズ症候群の子どもにおけるエクモ(体外式膜型人工肺)の予後:体外生命維持装置機構登録者のレビュー
Extracorporeal membrane oxygenation outcomes in children with Williams syndrome:a review of the ELSO registry.
Martin A(1)(2)(3), Rycus PT(4), Farooqi A(5), Dentel J(6), Cashen K(1)(2)(3).
Author information:
(1)Division of Critical Care Medicine, Children's Hospital of Michigan, Detroit, MI, USA.
(2)Central Michigan University College of Medicine, Mount Pleasant, MI, USA.
(3)Wayne State University School of Medicine, Detroit, MI, USA.
(4)Extracorporeal Life Support Organization (ELSO), Ann Arbor, MI, USA.
(5)Department of Biostatistics, Central Michigan University College of Medicine, Detroit, MI, USA.
(6)Department of Cardiovascular Surgery, Children's Hospital of Michigan, Detroit, MI, USA.
Perfusion. 2021 Mar 2:267659121999299. doi: 10.1177/0267659121999299. Online ahead of print.
はじめに:ウィリアムズ症候群は普通はエラスチン遺伝子を含む微小欠失を原因として、全身性動脈疾患を引き起こす。循環器系の異常はウィリアムズ症候群患者の80%に診られ、症状には大動脈弁上狭窄(SVAS)、肺動脈狭窄(PAS)、肺動脈弁狭窄(PS)を含む。ウィリアムズ症候群の子どもの処置鎮静の関連、あるいは周術期中の突然死が報告されている。本研究はウィリアムズ症候群の子どもに対するエクモの使用状況、ウィリアムズ症候群患者の院内死亡に関するリスク要素の特定、大動脈弁上狭窄、肺動脈狭窄、肺動脈弁狭窄を有するウィリアムズ症候群の子どもとウィリアムズ症候群ではない子どもの予後を比較する。
手法:体外生命維持装置機構に登録された0歳から18歳で、ウィリアムズ症候群、大動脈弁上狭窄、肺動脈狭窄、肺動脈弁狭窄と一次診断及び二次診断された子どもを対象とした。
結果:対象者は、同様の循環器診断を受けた、50人のウィリアムズ症候群の子どもと1222人のウィリアムズ症候群ではない子どもである。エクモの使用はどちらのグループでも時間とともに使用率が増加(p=0.93)し、ほとんどの症例が現代に発生している。ウィリアムズ症候群ではない子どもに比べて、ウィリアムズ症候群の子どもの方が若く(p = 0.004)、体重が軽く(p = 0.048)、エクモの肺補助適応(50%対10%、p < 0.001)であり、呼吸数が多く設定されることが多い (p < 0.001)。エクモの肺補助適応が報告されているにも関わらず、大部分のウィリアムズ症候群の患者(84%)はVAエクモを実施された。エクモ実施前の時点における心停止、エクモ実施期間、エクモ中断理由という観点で両グループに有意差はない。両グループとも死亡率は48% (p = 1.00)だった。ウィリアムズ症候群の死亡に対するリスク要素は特定されなかった。
訳者注
エクモの種類
- 肺炎などで肺の機能を補助する場合は、静脈(Venous)から静脈(V)に送る。VV ECMO(ブイブイエクモ)
- 心臓の機能を補助する場合は、静脈(V)から動脈(Artery)に送る。VA ECMO(ブイエイエクモ)
(2021年3月)
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