ウィリアムズ症候群成人における初見で動静脈瘻を疑った末梢性肺動脈の異常な吻合
Abnormal anastomosis of peripheral pulmonary arteries, initially suspected to be an arteriovenous fistula, in an adult with Williams syndrome.
親松 裕典(1), 渡辺 賢一(2), 桐山 亮太(1), 岡川 武日児(1), 新美 誠次郎(1).
Author information:
(1) 岡崎市民病院呼吸器外科
(2) 岡崎市民病院放射線科
Respirol Case Rep. 2021 Mar 9;9(4):e00738. doi: 10.1002/rcr2.738. eCollection 2021 Apr.
主張:末梢性肺動脈の異常な吻合は珍しく肺動静脈瘻に似ている。このため、肺動静脈瘻の疑いがあっても流入あるいは流出経路が明確に確認できない場合、末梢性肺動脈の異常な吻合の可能性を検討すべきである。しかし、最終的な確定診断にはカテーテル検査が必要である。
抄録:本稿では、右肺動静脈瘻の疑いがあるウィリアムズ症候群の45歳男性の症例を報告する。症例はA10bがA6近傍を経由するループを形成して上部肺静脈に流れ込んでいる。血管造影所見によってループはA6cからA10bに至る異常な吻合と判明した。末梢性肺動脈狭窄症はウィリアムズ症候群患者の40%に診られる。本症例では肺動脈基部が狭窄していた。本症例の異常な吻合は肺基部における血流が弱いことを補う目的としてA6cからA10bに至るバイパス経路が形成された可能性がある。
(2021年3月)
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