ターナー症候群、神経線維腫症1型、ウィリアムズ症候群の子どもや青年における高血圧
Hypertension in Children and Adolescents with Turner Syndrome (TS), Neurofibromatosis 1 (NF1), and Williams Syndrome (WS).
Sivasubramanian R(1), Meyers KE(2).
Author information:
(1)Division of Pediatric Nephrology, Department of Pediatrics, Children's Hospital of Philadelphia, 9th Floor Beurger Building, 3405 Civic Center Boulevard, Philadelphia, PA, 19104, USA.
(2)Division of Pediatric Nephrology, Department of Pediatrics, Children's Hospital of Philadelphia and University of Pennsylvania, 9th Floor Beurger Building, 3405 Civic Center Boulevard, Philadelphia, PA, 19104, USA. meyersk@email.chop.edu.
Curr Hypertens Rep. 2021 Mar 29;23(4):18. doi: 10.1007/s11906-021-01136-7.
ターナー症候群、神経線維腫症1型、ウィリアムズ症候群はすべて高血圧のリスクが実質的に高まる合併症を有する3種類の遺伝子疾患である。本レビューでは、これらの遺伝子疾患の子どもや青年における高血圧を引き起こす要素、臨床症状、高血圧の管理について焦点を当てる。
最近行われた発見:多くの発生例において高血圧は二次的である。ターナー症候群では仮面高血圧が高頻度で見られる。しかし、ターナー症候群の血圧をどの程度コントロールするかによって、大動脈乖離や大動脈瘤のリスクをどこまで下げられるかは完全に明らかになったわけではない。脈管障害は最も重要視されていないが、神経線維腫症1型においては最も重要な症状である。神経線維腫症1型に対する褐色細胞腫の定期的スクリーニングはコスト対効果が悪いことから推奨されないことは注目すべきである。循環器の合併症はウィリアムズ症候群患者の死の主要な原因である。携帯式血圧モニタリングを行うことで大動脈や腎血管に明白な狭窄がない患者を明らかにできる。たとえ明白な高血圧を呈していない患者でも、ARBのように血管壁に直接作用する降圧剤や酸化ストレス(ミノキシジル)を抑制する薬剤を検討すべきである。子どもや青年における血圧の上昇は終末器官の変化をもたらし、治療せずに放置すると、循環器疾患の早期発症のリスクが高まる。注意深く血圧を監視することを推奨する。高血圧の正確で早期の診断と管理を行うことで、対象となる臓器の損傷を遅らせる、あるいは防ぐことができ、これらの疾患に苦しむ子どもたちが健康のまま確実に成人に移行することを助けられる。
訳者注
ARB:アンジオテンシン受容体遮断薬
仮面高血圧:診察室外で早朝や夜間などに観察される高血圧
(2021年4月)
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