大動脈弁膜症における弾性線維断片化を原因とする早期の異所性血管新生
Early Aberrant Angiogenesis Due to Elastic Fiber Fragmentation in Aortic Valve Disease.
Hinton RB(1), Juraszek AL(2), Opoka AM(1), Landis BJ(3), Smith JM(4), Mecham RP(5), Bove KE(6).
Author information:
(1)Divisions of Cardiology, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, Cincinnati, OH 45229, USA.
(2)Pediatric Cardiology, Wolfson Children's Hospital, Jacksonville, FL 32207, USA.
(3)Division of Pediatric Cardiology, Indiana University School of Medicine, Indianapolis, IN 46204, USA.
(4)The Christ Hospital Heart Network, Cincinnati, OH 45219, USA.
(5)Department of Cell Biology and Physiology, Washington University, St. Louis, MO 63130, USA.
(6)Division of Pathology, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, Cincinnati, OH 45229, USA.
J Cardiovasc Dev Dis. 2021 Jun 25;8(7):75. doi: 10.3390/jcdd8070075.
弾性線維断片化は大動脈弁膜症の特徴であり、血管新生は炎症に関連して後に見つかって確認される。我々は早期弾性線維断片化と異所性血管新生の関係の特徴を明らかにする。疾患の進行を調べるために、組織化学や免疫組織化学や電子顕微鏡などを用いて、大動脈弁組織の局所解剖と病理学検査を早期発症(<40歳)、晩期発症(>40歳)、非症候性大動脈弁膜症の検体に対して行った。大動脈弁膜症の早期発達に対する弾性線維断片化の影響を評価するために、ウィリアムズ症候群とマルファン症候群の患者の弁組織も合わせて分析した。大動脈二尖弁は大動脈弁膜症の早期発症において最も多く見られる症状であり、循環器系疾患の併存症が大動脈弁膜症の晩期発症では最も多く見られる。早期発症した大動脈弁膜症の検体には炎症やアテローム性動脈硬化のない新生血管が見られる。弾性繊維要素の特徴的なパターンが早期発症した大動脈弁膜症における新生血管を取り囲んでおり、その特徴にはemilin-1の増加とfibulin-5の減少が含まれている。それとは異なるタイプの弾性線維断片化がウィリアムズ症候群とマルファン症候群の大動脈弁で見られた。マルファン症候群にはないがウィリアムズ症候群の大動脈弁は血管新生があった。早期発症した大動脈弁膜症には異所性血管新生が存在するが炎症はなく、弾性線維断片化が見られた。根底にあるメカニズムを解明することで、新たな薬理的治療の開発がみえてくる可能性がある。
(2021年8月)
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