ウィリアムズ症候群患者のもやもや病:症例報告
Moyamoya syndrome in a patient with Williams Syndrome: a case report.
秋本 大輔、末永 潤、林 貴啓、広川 大輔、伊藤 秀一、佐藤 博信, 山本 哲哉
Pediatr Neurosurg. 2022 May 31. doi: 10.1159/000525229. Online ahead of print.
緒言:ウィリアムズ症候群に合併するもやもや病は非常に稀であるが、重篤な予後であると報告されている。ここで、RNF213の突然変異によって確定診断されたもやもや病を合併したウィリアムズ症候群の症例を報告する。
症例:6歳のウィリアムズ症候群男児が過換気により誘発された右半身麻痺を呈した。核磁気共鳴血管撮影や 脳血管造影を行った結果、 両内頚動脈に重度の狭窄ともやもや血管の発達が見られた。遺伝子検査を行った結果、RNF213遺伝子にc.14576G>A (p.R4859K)突然変異がヘテロ接合として同定された。もやもや病と診断され、両側性間接的血管再建術が合併症の発生なく行われ、術後経過も順調であった。ウィリアムズ症候群に合併するもやもや病においては、もやもや血管と循環器異常の両方に適切な術後管理を行うことが合併症の予防には必要である。
結論:本件はウィリアムズ症候群でもやもや病を合併し、RNF213のヘテロ接合突然変異の存在が確認された初めての症例である。もやもや病の精密検査と同様に、ウィリアムズ症候群におけるRNF213の突然変異を確認することは、重篤な合併症につながるもやもや病の発生を予見する有用な手段である。
【訳者注】
- RNF213:17番染色体長腕に存在する、もやもや病のリスク遺伝子
- 著者らは「横浜市立大学医学部・医学研究科 脳神経外科学教室」の教官と思われる
(2022年6月)
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