心拍数変動分析によってウィリアムズ症候群患者の突然死リスクを特定できる可能性がある
Heart Rate Variability Analysis May Identify Individuals With Williams-Beuren Syndrome at Risk of Sudden Death.
Levin MD(1), Cathey BM(2), Smith K(3), Osgood S(4), Raja N(5), Fu YP(6), Kozel BA(7).
Author information:
(1)Translational Vascular Medicine Branch, National Heart, Lung, and Blood Institute, National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA.
(2)Translational Vascular Medicine Branch, National Heart, Lung, and Blood Institute, National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA; School of Engineering Medicine, Texas A&M University, College Station, Texas, USA.
(3)Nursing Department, Clinical Center, National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA.
(4)Office of the Clinical Director, National Heart, Lung, and Blood Institute, National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA.
(5)Translational Vascular Medicine Branch, National Heart, Lung, and Blood Institute, National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA.
(6)Office of Biostatistics Research, National Heart, Lung, and Blood Institute, National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA.
(7)Translational Vascular Medicine Branch, National Heart, Lung, and Blood Institute, National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA.
JACC Clin Electrophysiol. 2022 Nov 11:S2405-500X(22)00860-X. doi: 10.1016/j.jacep.2022.10.010. Online ahead of print.
背景:ウィリアムズ症候群(Online Mendelian Inheritance in Man #194050)は希少多システム遺伝子疾患であり、染色体7q11.23領域の微小欠失を原因とする。症状は特徴的顔貌、知的障害、大動脈弁上狭窄を特徴とする。ウィリアムズ症候群患者は突然死のリスクが増大しているが、この表現型の基礎をなすメカニズムは完全には理解されていない。
目的:本研究の目的は、ウィリアムズ症候群患者(n=18)及び、年齢と性別を一致させた対照群(n=18)というコホート集団に対して、計測した心拍数変動に反映された自律神経活動の定量化と比較である。
手法:非線形の時間及び周波数ドメイン分析法を用いて、ウィリアムズ症候群患者及び、年齢と性別を一致させた対照群のコホート集団から得られた24時間心電図記録データに対して心拍数変動分析を行った。このコホート集団はウィリアムズ症候群の自然歴を特徴づけるための前向き横断的研究に参加している。
結果:ウィリアムズ症候群被験者は減少心拍数変動(NNインターバルの標準偏差[P=0.0001]、24時間以上にわたる5分間間隔における平均NNインターバルの標準偏差[P<0.0001]、24時間以上にわたるNNインターバルの5分間標準偏差の平均[P=0.0002])、NNインターバルの逐次差異の二乗平均平方根[P=0.0004]、ポアンカレプロットの短軸(標準偏差)[P<0.0001]、ポアンカレプロットの長軸(標準偏差)[P<0.0001]を反映している)、副交感神経活動の間接マーカー(直前のNNインターバルに対して局所平均の50%以上乖離したNNインターバルの割合[P<0.0007]、NNインターバルの逐次差異の二乗平均平方根[P=0.0004]、高周波自然対数パワースペクトル[P=0.0038]、 標準偏差 [P<0.0001]を反映している)を呈していた。他にも有意に異なるパラメータが複数存在し、その中には超低周波自然対数パワースペクトル(低下;P=0.0002)、低周波自然対数パワースペクトル(低下;P=0.0024)、ポアンカレプロットの長軸で分割された標準偏差(低下;P=0.0001)が含まれる。
結論:ウィリアムズ症候群患者は、心拍数変動に有意な異常を呈していて、自立神経維持の消失と整合する。この疾患の患者で見られる、自律神経失調と突然死リスクの関係を確定させるためにはさらなる研究が必要である(末端臓器におけるエラスチン媒介型動脈硬化の影響:NCT02840448)。
(2023年2月)
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