家族性ELN突然変異による大動脈弁上狭窄症の進展を有した非症候性の子どもの鎮静下心臓MRI検査中の心突然死
Sudden Cardiac Arrest During a Sedated Cardiac Magnetic Resonance Study in a Nonsyndromic Child with Evolving Supravalvar Aortic Stenosis Due to Familial ELN Mutation.
Markush D(1)(2), Sanchez-Lara PA(3)(4), Grand K(3)(4), Wong R(5), Garg R(6)(3).
Author information:
(1)Guerin Family Congenital Heart Program, Smidt Heart Institute, Cedars-Sinai Medical Center, Los Angeles, CA, USA. Dor.Markush@cshs.org.
(2)Department of Pediatrics, Cedars-Sinai Medical Center, Los Angeles, CA, USA. Dor.Markush@cshs.org.
(3)Department of Pediatrics, Cedars-Sinai Medical Center, Los Angeles, CA, USA.
(4)Department of Medical Genetics, Cedars-Sinai Medical Center, Los Angeles, CA, USA.
(5)Department of Anesthesiology, Cedars-Sinai Medical Center, Los Angeles, CA, USA.
(6)Guerin Family Congenital Heart Program, Smidt Heart Institute, Cedars-Sinai Medical Center, Los Angeles, CA, USA.
Pediatr Cardiol. 2023 Feb 15. doi: 10.1007/s00246-022-03089-3. Online ahead of print.
大動脈弁上狭窄症は発症数は多くはないが、臨床的には左心室拍出路の通過障害を呈する重要な症状であり、ウィリアムズ症候群に合併することが多い。ウィリアムズ症候群以外の大動脈弁上狭窄症は孤発的あるいは家族性、特にエラスチン遺伝子(ELN)の突然変異が特定された場合に多い。大動脈弁上狭窄症の患者における心突然死のリスクは、ウィリアムズ症候群患者に関連する文脈で多く記述されている一方で、孤発性大動脈弁上狭窄症の患者におけるリスクはそれほど知られていない。本稿では、大動脈弁上狭窄症を進展させた2歳の非症候性男児患者で、鎮静下心臓MRI画像検査中に心突然死をした症例を報告する。大動脈弁上狭窄症の家族歴が強く表れており、エラスチン遺伝子の突然変位診断を目的とした遺伝子検査の結果、患児の父親(り患)および父方の親戚で変異が確認された。我々は大動脈弁上狭窄症患者の心突然死に関する文献に記載されたリスク要素をレビューし、ウィリアムズ症候群や重度の疾患がない場合におけるこれらの患者が心血管イベントを発症するリスクに対す警鐘を鳴らす意味で本症例を紹介したい。本症例は、大動脈弁上狭窄症を有し、たとえウィリアムズ症候群やその他の遺伝子症候群を疑う表現型がない患者であっても、特にエラスチン遺伝子の突然変異を探索している研究班においては、遺伝子検査を行うことの重要性を強調している。
(2023年2月)
目次に戻る