Williams症候群におけるもやもや症候群の検討
砂原真理子1、立川恵美子1、日野なおみ1、五十嵐一枝1、 大澤真木子1、小野由子2、竹下幹彦3、松岡瑠美子4
東京女子医科大学大小児科1、神経放射線科2、脳神経外科3、循環器小児科4
第6回国際先天異常学会連盟学術集会 & 第40回日本先天異常学会学術集会
2000年7月13日
Williams症候群(WS)は、エラスチン遺伝子を含む7q11.23の半接合体による先天奇形症候
群である。先天性心疾患、小奇形、発達遅滞を特徴とするが、言語能力は比較的保たれる。
エラスチンは弾性線維のcompornentのamorphnouscompornentに一致すると考えられてお
り、全身の血管病変を起こす可能性がある。WSには、もやもや現象合併の報告がある。も
やもや現象の罹患の有無を12例のWSで検索し、さらに、同現象を呈したWSを文献展望し、
特徴を検討し、若干の知見を得たので報告する。
【方法】-
6-30歳のWS12例に頭部MRI/MRAを施行し、脳血管病変を呈したWSの文献展望を行っ
た。
【結果】-
言語遅滞を認めるが脳虚血発作や梗塞のない1例で、もやもや症候群を認めた。文献
展望を通じて認められた特徴は、一般的な初発症状が、幼児においては脳虚血発作で
あり、幼児期以降では脳出血であった。また、閉塞部位は幼児期では片側で、加齢に
伴い両側性となり、この臨床経過は特発性ウイリス動脈輪閉塞症と類似していた。
【結論】-
小児期発症のもやもや症候群において脳虚血発作がその初発症状であることが一般的
であるのに対し本例では言語発達が遅れていることが初発症状であった。WSの認知能
力は、視覚認知情報の統合および構成課題に重大な障害をもつ一方で、社会的な会話
能力がその知能障害に比較して高いという特徴があるが、言語遅滞が主症状となった
WSにおいては脳虚血発作がなくても、もやもや症候群の合併について検討が重要と考
えられた。
(2000年7月)
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