ベラパミルとクルクミンの併用治療でウィリアムズ症候群マウスモデルの循環器系の病態を回復させた
The Combined Treatment of Curcumin with Verapamil Ameliorates the Cardiovascular Pathology in a Williams-Beuren Syndrome Mouse Model.
Abdalla N(1), Ortiz-Romero P(1), Rodriguez-Rovira I(1), Perez-Jurado LA(2)(3)(4), Egea G(1), Campuzano V(1)(3).
Author information:
(1)Department of Biomedical Sciences, School of Medicine and Health Sciences, University of Barcelona, 08036 Barcelona, Spain.
(2)Department of Medicine and Life Sciences, University Pompeu Fabra, 08003 Barcelona, Spain.
(3)Centro de Investigacion Biomedica en Red de Enfermedades Raras (CIBERER), ISCIII, 28029 Madrid, Spain.
(4)Genetics Service, Hospital del Mar & Hospital del Mar Research Institute (IMIM), 08003 Barcelona, Spain.
Int J Mol Sci. 2023 Feb 7;24(4):3261. doi: 10.3390/ijms24043261.
ウィリアムズ症候群は反復性微小欠失を原因とし、大動脈弁上狭窄症を中心とした循環器系症状を特徴とする希少疾患である。不幸なことではあるが、現時点で効果的な治療方法はない。我々は、ウィリアムズ症候群と同等の欠失を有するマウスモデル(完全欠失マウス)、すなわち循環器系表現型に対してベラパミルとクルクミンを併用した経口慢性投与治療の効果を研究している。生体内の収縮期血圧、上行大動脈と左心室の心筋の病理組織学検査を行い、治療の効果とその根底となるメカニズムを確認した。分子分析の結果、完全欠失マウスの上行大動脈と左心室の心筋有意に上方制御されたキサンチン酸化還元酵素の発現を認めた。この過剰発現は副生成物が媒介した酸化ストレスダメージがもたらした硝酸化蛋白質のレベル上昇を伴っており、キサンチン酸化還元酵素ストレスが循環器系症状の病態生理にインパクトを与えたことを示している。ベラパミルとクルクミンの併用治療だけが、赤血球系転写因子2(NRF2)の活性化とキサンチン酸化還元酵素及び硝酸化蛋白質のレベルの減少を通じて循環器パラメータの有意な改善につながった。我々のデータはキサンチン酸化還元酵素と酸化ストレスダメージを抑制することで、この症候群における重度の循環器系損傷防止を支援できることを示唆している。
(2023年3月)
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