ウィリアムズ症候群における総頚動脈の機械的性質



Mechanical properties of the common carotid artery in Williams syndrome.

Aggoun Y, Sidi D, Levy BI, Lyonnet S, Kachaner J, Bonnet D
INSERM 0016 and Service de Cardiologie Pediatrique, Hopital Necker-Enfants Malades, 149 rue de Sevres 75743, Paris Cedex 15, France.
Heart 2000 Sep;84(3):290-293

【目的】
ウィリアムズ症候群の年少の患者において、弾力のある動脈壁の肥厚にその機械的性 質の変化が伴っているかどうか調査する。
【方法】
21人のウィリアムズ症候群患者(平均8.5才、標準偏差4才)と同年齢の子ども21人に ついて総頚動脈の動脈圧・内膜-中膜厚・断面膨張性(cross sectional compliance)・ 膨張性(distensibility)・周囲血管壁圧(circumferential wall stress)・弾力モジュ ールの増加(incremental elastic modulus)が非侵襲的に調査された。
【結果】
収縮期及び拡張期血圧はウィリアムズ症候群患者のほうが高い(125/66 対 113/60 mm Hg, p < 0.05)。内膜-中膜厚の平均(標準偏差)はウィリアムズ症候群患者で増加が見 られ、厚みは0.6 (0.07) 対 0.5(0.03) mm (p < 0.001)であった。血圧が正常なウィ リアムズ症候群患者は周囲血管壁圧が低く(2.1 (0.5) 対 3.0 (0.7) mm Hg, p < 0.01)、 膨張性は高く(1.1 (0.3) 対 0.8 (0.3) mm Hg(-1).10(-2), p < 0.01)、断面膨張性は 同程度(0.14 (0.04) 対 0.15 (0.05) mm(2).mm Hg(-1), p > 0.05)であり、弾力モジ ュール増加は低い(7.4 (2.0) 対 14.0 (5.0) mm Hg.10(2); p < 0.001)。
【結論】
ウィリアムズ症候群においては、内膜-中膜厚が増大し血管強度が低下している傾向が 共通して見られるものの、弾力のある大きな動脈の膨張性には変化が見られない。こ のため本症候群においては全身高血圧(systemic hypertension)は血管系の膨張性の障 害が原因ではない。
(2000年9月)



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