再発性高カルシウム血症の成人へのウィリアムズ症候群の偶発診断
Incidental Diagnosis of Williams Syndrome in an Adult With Recurrent Hypercalcemia.
Tersteeg S(1), Bakhutashvili V(1), Crook M(1), Ferris HA(1).
Author information:
(1)Division of Endocrinology and Metabolism, University of Virginia, Charlottesville, VA 22908, USA.
JCEM Case Rep. 2024 Jan 2;2(1):luad164. doi: 10.1210/jcemcr/luad164. eCollection 2024 Jan.
ウィリアムズ症候群は高カルシウム血症に合併する複数の症状を有する希少遺伝子疾患である。高カルシウム血症の原因はよく解っておらず、主にウィリアムズ症候群の子どもに合併するが、成人にも診られる。知的発達症、腎機能不全、再発性膵臓炎そして部分的副甲状腺摘出術を行ったにもかかわらず間欠性高カルシウム血症を有する51歳の女性が定期的経過観察において14mg/dL (3.49mmol/L; 正常値 8.6-10.5mg/dL [2.12-2.62mmol/L])の高カルシウム血症を呈した。臨床検査でビタミンD、尿中カルシウム、副甲状腺ホルモンが平常値の慢性腎機能不全の顕著な急性悪化が認められた。彼女は救急治療部に運ばれ入院した。ビスホスホネート製剤、カルシトシン、静脈輸液で治療した結果、カルシウムは9.4mg/dL (2.35mmol/L)まで低下し、腎臓機能も改善した。彼女は、経口補水量の増量、低カルシウム食、外来での経過観察を行うという勧告を受けて退院した。彼女の表現型からウィリアムズ症候群の疑いがあり、後の遺伝子検査で確定診断された。本症例は、ウィリアムズ症候群成人に高カルシウム血症のリスクが高まること、および知的発達症の成人に高カルシウム血症がある場合はウィリアムズ症候群を疑う必要性があることの両方の例証となっている。また、本症例は潜在的で診断を受けていない成人のウィリアムズ症候群の症状に気づくこと、及びウィリアムズ症候群成人における高カルシウム血症の監視と治療を目的としたガイドラインをレビューすることの重要性を例証している。
(2024年1月)
目次に戻る