中部大動脈症候群:ウィリアムズ症候群の重要な特徴



The middle aortic syndrome: an important feature of Williams' syndrome.

Radford DJ, Pohlner PG
Queensland Centre for Congenital Heart Disease, The Prince Charles Hospital, Brisbane, Australia. radfordd@health.qld.gov.au
Cardiol Young 2000 Nov;10(6):597-602

胸部及び腹部大動脈のびまん性狭窄を伴う中部大動脈症候群(the middle aortic syndrome) はウィリアムズ症候群患者18人中10人(55%)に見られた。狭窄部位で20mmHg以上の圧力 較差を記録した患者は、胸部狭窄で3人、腹部狭窄で2人であった。7人の患者に軽度の腎 動脈狭窄、6人には内臓動脈狭窄が見られた。10人は高血圧だった。継続的に血管造影を 受けた男性患者3人の大動脈の内径計測値は増加しなかった。1人の患者は、9歳から19 歳の間に腸間膜動脈狭窄と両側腎動脈に軽度の狭窄が進行した。血管内超音波検査(aortic intravascular ultrasound)を実施した患者2人では、狭い内径と血管壁の異常肥厚が確認 された。びまん性狭窄、厚く硬直した動脈、エラスチンの欠如がウィリアムズ症候群の特 徴である。加齢とともに進行する動脈疾患と全身性高血圧(systemic hypertension)が青年 期以降共通して見られる。中部大動脈症候群が半数以上に存在するが、必ずしも心臓病診 断の傾向を反映してはいない。大動脈X線撮影による大動脈内径測定と内臓動脈枝の描写 がウィリアムズ症候群患者の診断には欠かせない重要な検査項目である。

(2000年12月)



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