ウィリアムズ症候群に合併する肺動脈末端狭狭窄症のバルーン血管拡張術
Balloon Dilation Angioplasty of Peripheral Pulmonary Stenosis Associated With Williams Syndrome.
Department of Cardiology, Children's Hospital, and the Department of Pediatrics, Harvard Medical School, Boston, Mass.
Circulation 2001 May 1;103(17):2165-2170
背景:
ウィリアムズ症候群における肺動脈末端狭窄症のバルーン拡張については経験が不足
している。
方法と結果:
1984年から1999年にかけて治療を受けたウィリアムズ症候群患者の全カテーテル治療
をレビューした。拡張が成功したという判定は、拡張前に比べて直径が50%以上増加し
たこと、右心室(RV)対動脈(Ao)の収縮期血圧比が20%以上減少したことと定義した。年
齢と体重の中央値は1.5才と9.5Kgであった。25人の患者に対して39回手術が実施さ
れ、134回の拡張が行われた。初回の拡張が成功したケースは51%ある。多変量解析を
行った結果、拡張の成功は、(1)肺動脈の心臓側より端部側であること(P=0.02)、(2)
バルーンのくびれ部が拡張とともに回復した場合(P=0,001)、(3)バルーン/狭窄比が
より大きい場合(P<0.001)と関連がある。右心室圧は拡張後でも変化はなく(96+/-30 対
97+/-31 mm Hg)、心臓側の肺動脈を拡張できないことが主要因である。動脈圧は増加
しており(102+/-14 対 109+/-19 mm Hg, P=0.03)、RV/Ao圧力比は減少した(0.97+/-0.34
対 0.91+/-0.30, P=0.05)。拡張後に動脈瘤の発生が24例見られたが、バルーン/狭
窄比とは無相関であった。バルーン破裂が12件発生し、形成不全領域で破裂が発生し
た7件すべてにおいて動脈瘤が形成された。患者3人が死亡したが、肺動脈外傷によ
る死亡は一例もなく、全ケースが1994年以前であった。
結論:
死亡につながったのは初期事例のみであった。端部肺動脈の拡張が成功したにもかか
わらず、血行力学的に初期改善が見られなかったのは心臓側の肺動脈障害が残ってい
ることが主要因である。端部の拡張を行った後、基部の障害を手術で修復する方法が
合理的かつ成功につながる治療であると考えられる。
(2001年6月)
目次に戻る