先天性大動脈弁上部狭窄症4例に対するDoty手術の中期遠隔治療成績



本論文で紹介されている4例の患者のうちの1人はWilliams症候群で、末梢性肺動脈狭窄 を合併していた。

(2001年8月)

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増田善逸、河田政明、新井禎彦、石野幸三、佐野俊二
岡山大学医学部心臓血管外科
日本小児循環器学会雑誌 17巻3号 439から443ページ (2001年)

先天性大動脈弁上部狭窄症(supravalvular aortic stenosis :SVAS )は比較的稀な心疾 患である.手術は,Doty らの大動脈拡大形成術が一般的である.今回,当科で施行した4 例 のDoty 手術の術式と中期遠隔成績について報告する.術前狭窄部圧較差はカテーテル検査 にて34 〜114mmHg であった.また,狭窄部形状は全例hourglass 型であった.術式は, Doty らの方法に従い無冠尖,右冠尖に至る逆Y 字型の大動脈切開後,16 ,18 そして20 mm 径人工血管から作製した逆Y 字型(パンタロン型)パッチにて大動脈基部を拡大形成した. 病院・遠隔期死亡はなく,7 カ月〜6 年2 カ月の経過観察中,心エコー検査による術後の 圧較差は0 〜29 mmHg であった.病変部の形状に合わせ,逆Y 字型パッチをトリミングす ることで,圧較差解除と左室壁肥厚の退縮が得られ,Doty 手術の中期遠隔期までの成績は 良好であった.



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