子どもの先天性大動脈弁上狭窄症に対する外科治療
Surgical repair of congenital supravalvular aortic stenosis in children.
Brown JW, Ruzmetov M, Vijay P, Turrentine MW.
Section of Cardiothoracic Surgery, James W. Riley Hospital for Children, Indiana
University School of Medicine, Indianapolis, IN 46202-5123, USA
Eur J Cardiothorac Surg 2002 Jan;21(1):50-6
目的:
大動脈弁上狭窄症(SVAS)は発生頻度の低い先天性循環器異常であり、いろいろなレベル
の左心室出側流路障害が大動脈弁以遠に存在することを特徴とする。
手法:
1962年3月から2000年12月まで、101人の子どもたちがライリーこども病院(Riley
Children's Hospital)で先天性大動脈弁上狭窄症修復外科手術を受けた。61人が男児
(60%)、40人が女児(40%)で、年齢範囲は3ヶ月から17歳(中央値は6.1歳)であっ
た。患者のうち14人(14%)がウィリアムズ症候群であった。手術前のニューヨーク心
臓協会機能レベル(New York Heart Association (NYHA) functional class)は、レベ
ルTの患者が11人、レベルUが55人、レベルVが28人、レベルWが7人であった。患
者101人中、73人(72%)は局所的SVASであり、28人(28%)はびまん(拡散)的SVAS
であった。
結果:
局所的SVASの患者はパッチ大動脈形成手術を使った治療が成功しているが、びまん的
SVASの患者の場合は、パッチ大動脈形成手術を使った大動脈先端部導管(apical aortic
conduit)あるいは血管内膜切開拡張術(extensive endarterectomy)のどちらかを必要
とした。総合的血圧較差は手術直後の時点で21mmHg(P<0.001)まで低下した。手術直後
(手術後30日未満)に死亡した患者は1例(1%)で、それ以降に死亡した患者は2例(2%)
ある。術後6ヶ月から30年(中央値 9.4年)間の観察期間内に、14人(14%)が2回目
あるいは3回目の手術を受けた(n=17)。手術後のNYHA機能レベルは、レベルTの患者
が72人(73%)、レベルUが26人(26%)であった。手術後に死亡した事例を含めた総生
存率は10年後で98%、20年後と30年後では97%である。
結論:
先天性大動脈弁上狭窄症は局所的・びまん的どちらの患者も適切な手術方法を用いるこ
とで良好な治療成績を達成している。
(2002年1月)
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