ウィリアムズ症候群の患者75人の循環器系症状
Cardiovascular manifestations in 75 patients with Williams syndrome.
Eronen M, Peippo M, Hiippala A, Raatikka M, Arvio M, Johansson R, Kahkonen M.
The Hospital for Children and Adolescents, Division of Paediatric Cardiology, University of Helsinki, Finland. Marianne.eronen@dlc.fi
J Med Genet 2002 Aug;39(8):554-8
目的:
4ヶ月から76歳まで(メジアンは22.7歳)のウィリアムズ症候群の患者75人について、年齢別に見たさまざまな循環器系疾患の罹患率とそのタイプ、循環器系手術やその他の治療法の成果を評価する。
研究方法:
すべてのケースにおいて、臨床的かつエラスチン遺伝子の半接合を示すFISH検査を用いてウィリアムズ症候群の診断が行われた。患者が治療を受けた全ての病院から臨床及び手術データが集められた。
結果:
循環器系症状はウィリアムズ症候群の患者の出生時において75人中35人(47%)で明らかであった。経過観察期間に75人中44人(53%)のウィリアムズ症候群患者で循環器系異常が見つかっている。異常が見つかった患者のうち、1歳までの乳児で確定診断されたのは23人(52%)、1歳から15歳の児童が14人(32%)、15歳以降の成人が7人(16%)だった。複数の循環器系疾患が6人の乳児で見つかっている。症例の内訳は、大動脈弁上狭窄(SVAS)の診断が32/44(73%)、肺動脈狭窄(PAS)が18/44(41%)、大動脈弁及び僧帽弁欠陥が5/44(11%)であり、ファロー四徴症が一人(2%)で見つかった。合計として、17/44(39%)が術やその他の治療を受けた。手術は乳児グループで実施される割合が最も高い(6% 対 21% 対 0%, p=0.004)。1歳以降に7人の患者がSVAS軽減術を受け、PAS軽減術が2例あった。術後の死亡例はない(経過観察期間のメジアンは6.9年)。動脈高血圧が成人の55%にみられた。成人の3人は死亡後検死が行われるまで脈管障害との診断を受けていない。
結論:
ウィリアムズ症候群に関する調査結果は次の通りである。心臓の症状は新生児に共通している。乳児期に心疾患の診断を受けた場合は手術を必要とすことが多い。1歳を過ぎると肺動脈狭窄は快方に向かい、大動脈弁上狭窄は進行する傾向がある。脈管障害や動脈高血圧が発生するリスクがあるため、生涯に渡って心臓の経過観察が必要である。
(2002年8月)
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