ウィリアムズ症候群における大動脈の成長:手術を受ければ変化があるか?
Growth of the aorta in children with Williams syndrome: does surgery make a difference?
English RF, Colan SD, Kanani PM, Ettedgui JA.
Division of Pediatric Cardiology, Children's Hospital of Pittsburgh, 3705 Fifth Avenue, Pittsburgh, PA 15213, USA. robert.english@chp.edu
Pediatr Cardiol. 2003 Nov-Dec;24(6):566-8. [Epub ahead of print]
大動脈弁上狭窄と動脈弓形成不全はウィリアムズ症候群の特徴である。大動脈形成手術が大動脈の成長に及ぼす影響は未解明である。我々は大動脈形成手術を受けても受けなくても大動脈の成長には影響が無いという仮説をたてた。ピッツバーグこども病院(Children's Hospital of Pittsburgh)のデータベースを調査した結果、大動脈弁上狭窄を併発するウィリアムズ症候群患者が18人確認された。そのうち14人は十分なデータが含まれていた。大動脈形成手術を受けたか受けなかったかで2つのグループ(それぞれをグループ1,2とする)に分けた。心エコーによる推定流速を全患者に対して2回、グループ1に対しては手術後にさらに1回追加測定を行った。測定値をzeta値(zeta score)に変換して比較した。上行大動脈における心拍極大期のエコードップラー流速(Peak pulsed echo Doppler velocity (m/sec))は大動脈形成手術を受けたグループの方が高い。この値は術後に顕著に低下する。手術前においては、両グループの輪(annulus)・上行大動脈・横行大動脈・帯状回峡(isthmus)の計測値に差は見られない。術後平均43ヶ月経過した時点で、上行大動脈・横行大動脈・帯状回峡の大きさに顕著な変化は見られない。ウィリアムズ症候群の子どもの大動脈弓形成不全はそのまま継続している。大動脈形成手術は、大動脈の(流速)勾配を低下させるが、短期的には上行大動脈・横行大動脈・帯状回峡の大きさには影響を与えない。
(2004年2月)
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