末梢性肺動脈狭窄症に対するブレード付バルーン血管形成術



Bladed balloon angioplasty for peripheral pulmonary artery stenosis.

Hisashi Sugiyama, Veldtman GR, Norgard G, Lee KJ, Chaturvedi R, Benson LN.
Department of Pediatrics, Division of Cardiology, Hospital for Sick Children, University of Toronto School of Medicine, Toronto, Ontario, Canada. Catheter Cardiovasc Interv. 2004 May;62(1):71-7.

末梢性肺動脈狭窄症の治療は挑戦的であり、通常のバルーン血管形成術ではすべての症例に対処できないことが明らかになっている。通常の高圧バルーン血管形成術(10-15 atm)では対処できない血管部位に対するブレード付バルーン(bladed balloon (BB))よる拡張効果について評価した。1ヵ月からから15歳の年齢範囲の患者14人に対して行われた31例の手術が対象である。ブレード付バルーンの直径は3〜8oである。ブレード付バルーンによる拡張が行われた後、全員が通常のバルーン血管形成術(バルーンのサイズは3〜8o)を受けた。手術前後の最小血管内径、最初のバルーン血管形成術を行った時点におけるくびれの存在、ブレード付バルーン直径と最小血管内径の比を計測した。最小血管内径が50%以上改善したケースを成功とする。ウィリアムズ症候群が4人、アラジル(Alagille)症候群が2人、ファロー四徴症が5人、その他の病因が3人である。治療が難しい狭窄が存在していた部位は、右中央肺動脈が6例、右肺動脈枝が7例、左中央肺動脈が6例、右肺動脈枝が12例であった。ブレード付バルーン直径の中央値は最小血管内径の253%(117-440%)であり、2.0 +/- 0.7mm から 3.2 +/- 0.8 mm に拡大し(P < 0.0001)、その平均拡大率は73% +/- 62%であった。術前の最小血管内径と術後の拡張の間には逆相関(r = 0.75; P < 0.001)が見られる。術前のブレード付バルーン直径と最小血管内径の比率は術後の最小血管内径の拡大量に有意に関係している(r = 0.70; P < 0.001)。術後、31例中18例が成功したと判断された。成功した事例でのすべてにおいて、ブレード付バルーン直径は術前の最小血管内径の2倍以上であった。ウィリアムズ症候群とアラジル(Alagille)症候群の子どもをそれ以外の8人と比較しても、最小血管内径の拡張に関しては有意差はみられない。それぞれ2名と3名に小さな動脈瘤と血栓が認められたが、致命的な合併症は報告されていない。ブレード付バルーン血管形成術は、通常のバルーン血管形成術では治療が難しい末梢性肺動脈狭窄症に対して効果がある。ブレード付バルーンの直径は狭窄部位における最小血管内径の2倍以上にするべきである。

(2004年4月)



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