LMT狭窄を伴うSVASに対するMidofied Myers + Free RITAを用いたCABG
石橋信之、青木満、渡辺学、藤原直、澤田まどか、池田弘之、中島弘道、青墳裕之
(千葉こども病院心臓血管外科、同循環器科)
日本心臓血管外科学会学術総会日程と演題抄録
日本心臓血管外科学会編 第34巻(2004年2月18日-20日) 211ページ
【はじめに】
左冠動脈主幹部(LMT)狭窄を伴うSupravalvular Aortic Stenosis(SVAS)は突然死の原因となり重篤な疾患であるもののその再建方法は確立されていない。
【症例】
2歳男児。診断はWilliams症候群、SVAS、LMT狭窄。心電図上虚血所見は認められない。心臓カテーテル検査において、左室大動脈圧較差は70mmHg。造影上LMTは入口部よりdiffuseな狭窄を認めた。左内胸動脈(LITA)は径1.1mmで全体的に細く、右内胸動脈(RITA)は径1.4mmであった。
【治療方針】
- SVAS:狭窄部位は比較的限局しており、Myers法による再建を第一選択、狭窄が遠位におよぶ場合はDoty法を考慮。
- LMT狭窄:虚血所見は認めないものの、形態的に狭窄解除は必要と判断。パッチ拡大は狭窄がdiffuseであり、屈曲による狭窄の危険性もあるため、CABGの適応とした。LITAが使用できないため、RITAをfree graftとして用いることとした。
(【手術】の項略)
【結果】
術後経過は良好であり、退院時CTにおいて上行大動脈の狭窄は認めず、心筋シンチグラムにおいて虚血所見は認めなかった。
【結語】
DiffuseなLMT狭窄をもつ本疾患群に対しては、CABGが有用であり、特に内胸動脈を使用することにより、長期のグラフト開存が期待される。また、頚部3分枝にも狭窄の多発するWilliams症候群においては、Free graftを用いることは有効である。
(2005年11月)
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下記雑誌にも同じ症例と思われる報告が出ていました。
(2007年1月)
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Modified myers and coronary artery bypass grafting using free internal thoracic artery graft for complicated supravalvular aortic stenosis.
Ishibashi N, Aoki M, Fujiwara T, Watanabe M, Isomatsu Y.
Department of Cardiovascular Surgery, Chiba Children's Hospital, Chiba, Japan
J Card Surg. 2007 Jan-Feb;22(1):56-7.
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