Williams症候群およびその類似疾患における末梢性肺動脈狭窄へのバルーン拡大術IVUS所見からの検討
石田 武彦、里見 元義、安河内 聴、今井 寿朗、瀧聞 浄宏、神崎 歩
長野県立こども病院循環器科
原田 順和、竹内 敬昌、岡 徳彦、石川 成津矢
長野県立こども病院心臓血管外科
日本小児循環器学会雑誌 第18巻 3号 2002年6月 425ページ
目的:
Williams症候群およびその類似疾患における末梢性肺動脈狭窄(Peri.PS)に対するバルーン拡大術の効果をIVUS所見を用いて評価すること。
対象:
Williams症候群6名、Williams症候群ではないが形態学的に大動脈弁上狭窄と末梢性肺動脈狭窄を示し血管壁の肥厚を認めた児3名。
方法:
上記の児を対照群とし、9名の児における計14回のカテーテル検査より左右肺動脈の引き抜き圧較差、右室圧、PA indexを検討した。またIVUSにおけるTH/D ratio(PA thickness/PA dimension)、血管腔弾性率(Ie=|Is-Id|/|Ps-Pd|、Is:収縮期内径、Id:拡張期内径、Ps:収縮期圧、Pd:拡張期圧)、血管壁弾性率(THe=|THs-THd|/|Ps-Pd|、THs:収縮期壁厚、THd:拡張期壁厚)について正常群(n=10)と比較した。
結果:
9名中5名に明らかなPeri.PS(圧差10以上)と右室圧の上昇(40mmHg以上)を認めた。そのうち4名はPA indexが100以下であり肺動脈の低形成を認めた。Peri.PSを認めた5例中、3例に対して計6回のPTAを施行した(平均血管径2.7±0.6mm、拡大率284±78%)。2例は手押しで1例は15atmの耐圧バルーンを用いた。6ヵ所中4ヵ所でwaistの消失を確認し、2ヵ所でdissectionをIVUS上で認めた。しかし直後のRVp/LVp比では有意な低下を認めなかった。IVUS所見において対象群ではLPA、MPA TH/D ratioの有意な上昇を認めRPAでも同様の傾向を認めた。
考察:
Williams症候群およびその類似疾患においては、血管壁は厚いが弾性率は正常である。肺動脈の低形成により用いるバルーン径は制限を受けること、狭窄部血管の壁応力はむしろ小さくなりそれが対照群においてPTAの成功率が低い原因と考えられる。
(2005年11月)
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