ウィリアムズ症候群患者に対する心エコーで得られた知見
Echocardiographic findings in patients with Williams-Beuren syndrome.
Scheiber D, Fekete G, Urban Z, Tarjan I, Balaton G, Kosa L, Nagy K, Vajo Z.
Semmelweis Medical School, Budapest, Hungary.
Wien Klin Wochenschr. 2006 Sep;118(17-18):538-542.
背景:
ウィリアムズ症候群は染色体7q11.23の微小欠失を原因とする多臓器発生障害である。典型的な症例には、特徴的な顔貌異形症、関節拘縮、成長および精神発達の遅滞、人との接触を好む性格、視空間認知障害、高カルシウム血症、原発性および二次性高血圧、循環器系疾患などが含まれる。
目的:
ウィリアムズ症候群の臨床的診断は、大動脈弁上狭窄や肺動脈狭窄などの循環器系疾患を示さない幼い患者には困難である。この報告はウィリアムズ症候群患者の出生後の生育に伴う循環器系病変(共通的なもの以外も含めてすべての疾患について)の変化とその後のフォローアップ状況を明らかにすることである。
方法:
29人のウィリアムズ症候群患者(平均年齢12.8歳)の循環器系の状態とその年齢を記録した。
結果:
循環器系の診断は患者の大多数(72.4%)で変化した。興味深いことに、患者の44.8%には循環器系疾患の報告が無い期間があった。さらに、患者の65.5%は大動脈弁上部のびまん的あるいは部分的な狭窄や肺動脈狭窄などの典型的な循環器病変が発見されていない時期が存在した。大動脈弁上狭窄や肺動脈狭窄の自然的治癒や進行の両方がみられた。予想していなかった僧帽弁疾患が高頻度(41%)でみつかった。
結論:
本研究はウィリアムズ症候群においては循環器系疾患が一時的にみられない時期の存在と、その病変の変化があることを示している。この結果は本症候群の患者の診断基準と循環器のフォローアップに関する勧告を精緻化することにつながる。
(2006年10月)
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