慢性腎不全と内分泌異常を伴ったウイリアムス症候群



腎不全は 、ウイリアムス症候群の合併症ではないようです。ただ、腎臓に問題がある可能性は いろいろと指摘されていますので、注意が必要かもしれません。

Williams syndrome associated with chronic renal failure and various endocrinological abnormalities.

Ichinose M; 東條 克能; Nakamura K; Matsuda H; Tokudome G; 太田 真; 酒井 聡一;酒井 紀
Second Department of Internal Medicine, Jikei University School of Medicine, Tokyo.
(東京慈恵会医科大学 第二内科)
Intern Med (JAPAN) Jun 1996, 35 (6) p482-8, ISSN 0918-2918
Languages: ENGLISH
Document type: JOURNAL ARTICLE


6ヶ月間定期的に人工透析を受けているいる31才の男性が、FISH法による染色体分析によ って、ウイリアムス症候群と診断された。ウイリアムス症候群と慢性腎不全の合併症はこれま で診察したことがない。内分泌検査によれば、生殖線の内分泌減退が見られた。インシュリン 過多による低血糖につながる副腎皮質刺激ホルモンと、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンの 長期的な過剰反応も見られた。この患者に見られる内分泌異常の大部分は腎不全による内分泌 症状に起因すると考えられるが、対照的な所見も幾つかみられる。さらに、睾丸の生検標本は、 重度の精子形成機能低下を示している。この患者の内分泌異常の少なくとも一部分は、ウイリ アムス症候群に起因するいろいろな臨床的症状が原因である可能性がある。

訳者注:

著作者名については、原文を医療関係者名簿等と照らし合わせて、一致すると思われる名 前に置き換えてあります。間違っている可能性もありますが、病院で診察を受けられると きに、会話をするきっかけになることを期待して、あえて漢字にしてあります。この資料 をお使いになるときは、御注意下さい。

(1997年4月)



−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−

同じ症例と思われる内容が、別の専門雑誌に掲載されていました。

(2008年11月)

−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−

腎不全を合併したWilliams-Beuren症候群の1例

東京慈恵医科大学第二内科 太田 眞
佐藤 成明・田中 博・斉藤 広重・池田 恵一・宇都宮 正範・田村 忠司・杉本 健一・林 文宏・家口 慶彦・徳留 悟朗・東條 克能・橋本 隆男・酒井 紀
アザブ循環器クリニック 小笠原 定雅・川田 裕人
Japanese Circulation Journal Vol.59, Supple W、1996、995ページ

症例は32歳男性、幼少時より精神発達遅滞、低身長認めた。1994年2月より嘔気が出現、原因不明の末期腎不全状態のため血液透析導入となった。同年8月頃、透析中の胸痛発作が出現し精査目的にて当科来院した。顔貌は広い額と小さい下顎、鼻根部は低く厚い唇、耳介が低い位置で特徴的なelfin faceを呈し、心臓カテーテル検査では左心室大動脈引きぬき圧曲線では弁上部腔−大動脈にて28mmHgの圧差あり、大動脈造影・MRIにてDiscrete(Hourglass)型Supravalvular aortic stenosisが確認された。左冠動脈主幹部は入口部より完全閉鎖し、右冠動脈は太く左冠動脈へ良好な側副血行路を認め、また染色体7q11.23のelastin geneの欠失が確認されWilliams-Beuren症候群と診断した。腎不全を合併した本症は極めて希であり報告した。



目次に戻る