排尿機能障害とウィリアムズ症候群:臨床的及び尿力学的調査
Voiding dysfunction and the williams-beuren syndrome: a clinical and urodynamic investigation.
Sammour ZM, Gomes CM, Duarte RJ, Trigo-Rocha FE, Srougi M.
Division of Urology, University of Sao Paulo School of Medicine, Sao Paulo, Brazil.
J Urol. 2006 Apr;175(4):1472-6.
目的:
ウィリアムズ症候群は常染色体優性遺伝病であり発達遅延・循環器系異常・精神遅滞・特徴的な顔貌のような症状がある。我々はこの症候群の患者における排尿機能障害の発生頻度と範囲を系統的に調査した。材料と手法:我々は将来を見越してウィリアムズ症候群の男児16人と女児12人(平均年齢9.7歳、年齢範囲3歳から19歳)に対して検査を行った。泌尿器関連の調査には、泌尿器症状の病歴と生活の質への影響・一日の排尿記録・尿力学と尿路の超音波検査や排尿時の膀胱尿道造影や腎臓のシンチグラフィーを含む放射線医学評価が含まれる。
結果:
合計22名の患者(78.6%)に徴候があり、そのうち15名(53.6%)は生活の質に顕著な悪影響あった。排尿回数の増加が最も多い訴えであり17人(60.7%)にみられ、遺尿症(50%)と緊急失禁(42.8%)が続く。合計14人(50%)には主要な異常が膀胱憩室症である例(23人中10人、43.5%)を含めて尿路異常がみられた。尿力学によって、排尿筋過敏性が17人(60.7%)に、排尿筋過敏性を伴う排尿筋−括約筋協調障害が4人(14.3%)に、排尿筋過敏性を伴わない排尿筋−括約筋協調障害が2人(7.1%)にみられた。膀胱内圧容量は各年齢で期待される量に比べて平均で28.3%減少していることが判明した(p<0.001)。尿力学的異常は排尿徴候との合併(p=0.003)や膀胱憩室症との合併(p=0.001)がみられた。
結論:
ウィリアムズ症候群の子どもは排尿機能障害や構造的異常が発生するリスクが高く、泌尿器症状の病歴や尿路の超音波検査を含む最小限の検査を受けるべきである。一方で、尿力学検査やVCUGなどの追加検査は徴候がみられる患者や最初の検査で顕著な異常がある患者に対して実施すべきである。
(2006年3月)
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