最近経験した腎障害を伴う奇形症候群
清水順也、井上直樹、高岩正典、山上恵美、伊藤滋、横山裕司、田中弘之、清野佳紀
岡山大学小児医科学 玉野市民病院小児科
日本小児科学会雑誌 第107巻 第2号 397ページ (2003年2月).
小児科医が奇形症候群の診療に携わる機会は多いが、なかでも腎奇形、腎臓機能障害を合併する症候群は比較的多く、腎機能が生命予後を決める場合も多い。最近私達が経験した腎障害を伴う奇形症候群を5例提示しそれぞれにおける腎機能を中心とした経過、及び診療上の問題点等につき検討し報告する。
【症例1】
21歳男児。Williams syndromeの疑い。神経因性膀胱、直腸機能障害、水腎水尿管により閉塞性腎機能障害を来たしたが、膀胱婁留置により安定した。
【症例2】
2歳男児。Joubert syndrome。Dandy-Walker奇形と両側多嚢胞腎により胎児診断。呼吸異常及び重度の精神運動発達遅滞を伴っており、進行する腎不全に対して保存的療法を施行中。
【症例3】
14歳男児。Bardet-Biedle syndrome。10歳時より蛋白尿。ACEI投与で経過観察中。
【症例4】
9歳男児。Cranioectodermal dysplasia(CED)。4歳時より蛋白尿、7歳時にTubulionterstitial nephropathy(TIN)と組織診断された。腎不全が進行し、TINに対してステロイド療法を試みているが、近い将来透析導入予定である。
【症例5】
15歳女児。4p-syndrome。組織像はoligomeganephronia。6歳時蛋白尿で発症。Ccr10−15ml/minまで悪化したが、精神発達遅滞を伴うため透析導入に至らず保存的療法のみ施行中。
(2006年9月)
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