手術手法:腹腔鏡-膀胱鏡下アプローチによる男性卵形嚢切除
Surgical technique: Utriculus masculinum excision by a laparoscopic-cystoscopic approach.
Yankovic F, Scuderi MG, Smeulders N.
Department of Paediatric Urology, Great Ormond Street Hospital NHS Foundation Trust, Great Ormond Street, London WC1N 3JH, UK.
J Pediatr Urol. 2013 Feb 9. pii: S1477-5131(12)00320-8. doi: 10.1016/j.jpurol.2012.12.014. [Epub ahead of print]
目的:
男性卵形嚢は尿道下裂の12%に発生する。しかし、排尿後の失禁や感染症などの症状が出ることは稀である。我々は卵形嚢が骨盤内の深い位置に存在することと、卵形嚢と尿道が癒着している部分を正確に見分けるという困難な点を腹腔鏡と膀胱鏡を組み合わせることで克服した。
手法:
12歳で以前に尿道下裂の手術を受けたウィリアムズ症候群男児が日中の失禁の頻度が増えることがみうけられた。検査した結果(膀胱鏡検査、尿力学、排尿時膀胱尿道造影法(MCUG))尿道径は正常であり、巨大な男性卵形嚢によって失禁が起きていることが判明した。このビデオは手術手法を示している。同時に卵形嚢を視診する(simultaneous utriculoscopy)ことで、卵形嚢のドームを確認することができ、透視照明法によるガイドを利用して腹腔鏡切開を進め、尿道と卵形嚢の合流点を明らかにした。
結果:
組織分析の結果、扁平上皮化生と腺性膀胱炎(cystitis glandularis)を伴った炎症性卵形嚢と判明した。術後4ヵ月の経過観察危難を通じで兆候は改善し、日中は失禁がなくなった。
結論:
男性卵形嚢で切除を必要とすることはめずらしい。腹腔鏡と膀胱鏡を組み合わたアプローチで卵形嚢を描写することが容易になり、尿道との合流点を明らかにすることができた。
(2013年2月)
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