ウィリアムズ症候群の子どもや青年における下部尿路の症状
Lower urinary tract symptoms in children and adolescents with Williams-Beuren syndrome.
Sammour ZM(1), de Bessa J Jr(1), Hisano M(2), Bruschini H(1), Kim CA(3), Srougi M(1), Gomes CM(1).
Author information:
(1)Division of Urology, Hospital das Clinicas, University of Sao Paulo, Sao Paulo, Brazil.
(2)Division of Urology, Hospital das Clinicas, University of Sao Paulo, Sao Paulo, Brazil. Electronic address: m.hisano@hc.fm.usp.br.
(3)Genetics Unit of the Pediatrics Department, Children's Institute, University of Sao Paulo, Sao Paulo, Brazil.
J Pediatr Urol. 2016 Nov 2. pii: S1477-5131(16)30324-2. doi: 10.1016/j.jpurol.2016.10.003. [Epub ahead of print]
はじめに:
ウィリアムズ症候群は染色体バンド7q11.23の微小欠失を原因とする遺伝子疾患である。ウィリアムズ症候群の患者は先天性循環器疾患、神経発達障害、尿路の構造的異常を呈する可能性がある。下部尿路の症状はこの患者手段においては発生頻度が高いが、これをテーマにした研究はほとんどない上に、あったとしても対象は少ない症例である。
目的:
ウィリアムズ症候群患者の大規模集団に対して体系的に下部尿路症状の罹患率と膀胱調節を評価する。
研究デザイン:
女児41人、男児46人の合計87人のウィリアムズ症候群に対して継続的に横断的調査を実施した。全患者が遺伝子検査でウィリアムズ症候群の確定診断を受けた。被験者は、両親と本人から得た下部尿路症状の経歴、下部尿路症状に関する構造的質問表、3日間の排尿の回数と量を示すグラフ、下部尿路症状を対象とした生活の質に関する質問表、理学的検査等を用いて臨床評価を行った。膀胱調節の獲得に関する経歴は直接両親から聞き出した。
結果:
患者の平均年齢は9.0 ± 4.2 歳、年齢範囲は3歳から19歳である。症状に関する質問表と回数/量グラフによれば、70人の患者(80.5%)は症候性である。もっとも多い症状は切迫性(urgency)であり、61人(70.1%)に症状があり、続いて頻尿が60人(68.9%)、切迫性尿失禁が53人(60.9%)に見られた。これは図に示すとおりである。子どもの半数以上から夜尿症の報告があり、女児は61%、男児は52%である。23人の患者(25.6%)は尿路感染症の経験があった。昼間に尿の遺漏をしなくなった年齢は4.4 ± 1.9歳である。61人の患者(70.1%)の両親は下部尿路症状が彼らの子どもの生活の質に非常に大きな影響があることを認めている。
議論:
ウィリアムズ症候群の子どもや青年の大規模集団において、下部尿路症状の罹患率が高く、それが生活の質に非常に大きな影響を与えていること確認された。ウィリアムズ症候群の子どもにおいて昼間の膀胱調節ができるようになる年齢が遅れることが初めて確認された。部尿路症状は数ある症状の中で重要な症状とは認識されていないが、ウィリアムズ症候群の心象診断における重要な特徴であると考えるべきである。
結論:
下部尿路症状はウィリアムズ症候群の子どもや青年で高頻度に発症し、患者の生活の質に非常に大きな影響がある。
(2016年11月)
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