多嚢胞性異形性腎を呈する胎児に対する染色体マイクロアレイ解析の適用
Application of chromosome microarray analysis for fetuses with multicystic dysplastic kidney
Chen F(1), Lei T, Fu F, Li R, Zhang Y, Jing X, Yang X, Han J, Zhen L, Pan M,Liao C.
Author information:
(1)Department of Prenatal Diagnosis Center, Guangzhou Women and Children's Medical Center, Guangzhou Medical University, Guangzhou, Guangdong 510623, China. canliao@hotmail.com.
Zhonghua Yi Xue Yi Chuan Xue Za Zhi. 2016 Dec 10;33(6):752-757.
目的:
染色体マイクロアレイ解析を用いて多嚢胞性異形性腎を呈する胎児の遺伝子的病因を探索する。
手法:
72人の多嚢胞性異形性腎を呈する胎児に対して通常の細胞遺伝学的手法を用いて分析し、その中の正常な核型を有する30人に対して染色体マイクロアレイ解析を行った。解析にはアフィメトリクス社の分析手順に従ってCytoScan HD arraysを用いた。ChASソフトウェアを用いてデータを分析した。
結果:
通常の細胞遺伝学的手法により、3人(4.2%)の胎児に同定可能な染色体異常を認めた。染色体マイクロアレイ解析の結果からは、5人(16.7%)の胎児に病原性のコピー数多型を認めた。これには、17q12欠失症候群やウィリアムズ症候群という良く知られた欠失・重複症候群や、 4q35.2と22q13.33と1p33における超顕微鏡的な3種類の不均衡が発見された。PEX26、FKBP6、TUBGCP6、ALG12、CYP4A11が原因遺伝子になる可能性がある。
結論:
染色体マイクロアレイ解析は通常の細胞遺伝学的手法では同定不可能な超顕微鏡的な不均衡を同定できる。このため、出生前診断や遺伝カウンセリングにとって重要な役割を担っている。多嚢胞性異形性腎を呈する胎児に対して染色体マイクロアレイ解析の適用した場合のコピー数多型発見率は16.7%である。17q12欠失症候群とウィリアムズ症候群が多嚢胞性異形性腎を併発していた。PEX26、FKBP6、TUBGCP6、ALG12、CYP4A11の突然変異が多嚢胞性異形性腎の原因になる可能性がある。
(2016年12月)
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