右単腎の腎動脈狭窄に対し、自家腎移植を施行したWilliams症候群の女児の1例



吉弘 涼子、田原 正則、磯山 直仁、松村 正文、藤川 公樹、松山 豪泰
山口大学医学部泌尿器科
西日本泌尿器科 第80巻 増刊号 183ページ 2018年10月

症例はWilliams症候群(心合併症なし)の10歳、女児。高血圧の精査目的に2018年1月当院小児科に紹介入院した。CT上、左腎欠損、右腎動脈起始部の著明な狭窄を認めた。血液検査でレニン活性15ng/ml/hr、アルドステロン値713pg/mlと高値を認め、腎血管性高血圧と診断された。降圧剤の内服加療のみでは十分な血圧コントロールが得られず、放射線科にて経皮的腎動脈形成術を施行されるも狭窄部の拡張が不十分であったため、外科的治療が必要と判断。当科で自家腎移植を行った。腎臓の総阻血時間を可能な限り短くする目的で、先に仰臥位で左骨盤腔に移植床を作成し、次に左側側臥位で後腹膜鏡下右腎採取を行い、仰臥位に戻して自家腎移植を行った。総手術時間は7時間44分、気腹時間は1時間55分、総阻血時間は2時間2分、出血量は80mlであった。術後の腎機能低下はなく、レニン活性3.1 ng/ml/hr、アルドステロン値141pg/mlと正常範囲まで低下した。術後2ヶ月が経過し、降圧剤の内服を行わずに収縮期血圧100-120mmHg台を推移する日が徐々に増えてきている。なお、今後は腎機能の悪化や、腎動脈狭窄の再発に注意しながら経過観察を行う予定である。

 (2019年3月)

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下記雑誌にも同じ内容の論文が掲載されています。

単腎の腎動脈狭窄に対し自家腎移植を施行した女児の1例

長光 涼子、松村 正文、田原 正則、中山 祐起、磯山 直仁、藤川 公樹、松山 豪泰
山口大学医学部泌尿器科
西日本泌尿器科 第81(5)号, 522-525ページ, 2019年10月

 (2020年4月)



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