ウィリアムズ症候群患者における下部尿路徴候の長期的改善
Longitudinal Improvement of Lower Urinary Tract Symptoms in WILLIAMS-BEUREN Syndrome.
Sammour ZM(1), Hisano M(1), de Bessa J Jr(1), Bruschini H(1), Nahas WC(1), Srougi M(1), Gomes CM(1).
Author information:
(1)Division of Urology, University of Sao Paulo School of Medicine, Sao Paulo, Brazil.
J Urol. 2020 Dec 24:101097JU0000000000001560. doi: 10.1097/JU.0000000000001560. Online ahead of print.
目的:ウィリアムズ症候群は7q11.23領域の欠失を原因とする染色体異常である。下部尿路徴候の蔓延は高頻度で見られ、生活の質に顕著な影響を与える。ウィリアムズ症候群の患児における下部尿路徴候の長期的予後を評価した。
研究材料と手法:2001年2月から2016年7月の間に、90人のウィリアムズ症候群患者が当院で検査を行い、その内の31人(男児20人)に最低5年間の経過観察を行った。ベースライン評価として、下部尿路徴候の病歴、頻度・尿量記録、0(軽微)〜6(極度)の尺度で評価した生活の質への影響を調べた。症状がある患者にはオキシオブチニンやドキサゾシンを使った薬理学療法を行った。5年から10年間の経過観察を行った後の下部尿路徴候の予後を報告する。
結果:ベースライン評価の時点で27人(87.1%)の患者に徴候があった。経過観察の平均期間は10年(6-13年)だった。ベースライン評価の時点から薬理学療法を25人(92.6%)の患者に対して開始し、その内容はオキシオブチニンが19人(76.0%)、ドキサゾシンが1人(4%)、両剤の併用が5人(20.0%)であった。医学的治療は5年後で61.2%に、10年後でも52.9%に継続利用されていた(p=0.043)。薬理学療法の平均治療期間は7年(6-11年)だった。時間の経過とともに下部尿路徴候の顕著な改善が見られた一方で、5年後で35.5%、10年後で29.5%の患者に徴候が残っていた(p<0.001)。生活の質も時間の経過とともに目覚ましく改善した(p<0.001)。
結論:長期にわたる研究により、ウィリアムズ症候群の青少年においては時間の経過とともに下部尿路徴候の顕著な改善が見られることが明らかになった。多くの患者で長期にわたる薬理学療法が必要であった。
(2021年1月)
目次に戻る