ウイリアムズ症候群児にみられる関節可動範囲の縮小
Lower Extremity Joint Range of Motion in Children with Williams Syndrome
Kathleen Richards PT, PCS, Alice Shea PT,ScD, Clair McCarth PT, MS
Children's Hospital, Boston, MA(Dept. Of PT/OT Service)
300 Longwood Ave., Boston, MA 02115
"Program and Abstracts" of 8th International Professional Conference On Williams Syndrome, Page 49
緒言:
ウィリアムズ症候群は20,000回の出産に1人の割合で発生する発達障害であり、運動
機能の遅滞や関節可動範囲の制限や弱い筋力など、神経と筋骨格の異常を伴う。本研
究はウィリアムズ症候群患者の姿勢や歩き方から股関節と膝関節の柔軟性に関連する
特定の関節の可動範囲を測定し、年齢との関連を調査した。加齢と関節可動範囲に関
する情報は、理学療法において適切な治療プログラムを作成する手助けとなる。
手法:
21ヶ月から173ヶ月までの112人(男児48人、女児52人)の子どもの測定サンプルが
集められた(12人は2回測定した)。3才未満が20人、3才から5才が27人、5才から
10才が47人、10才から18才が14人である。受動的股関節伸展限界(Thomasテスト)・
膝関節伸展・伸ばした足を上げる・膝を伸ばした状態での足関節の背屈を、側角計を
用いて3人の理学療法士が同じ方法で測定した。
分析:
結果:
4つの年齢別グループの平均値は年齢が高くなるにつれて範囲が減少することを示し
ている。Thomasテストによる範囲の平均は、年少の子どもたちが11.10(s=8.4)である
のに対し、最も年齢の高いグループは16.90(s=5.3)になる。伸ばした足を上げるテス
トではそれぞれ71.00(s=7.5)が42.80(s=9.9)、足関節の背屈は10.90(s=10.9)が
1.420(s=2.9)となる。21人の被験者で測定した膝関節伸展には異常はみられなかった。
考察:
今回測定したウィリアムズ症候群の被験者の可動範囲限界は加齢と共に狭まった。こ
の制限の原因究明にはさらなる調査が必要となる。間違いなく病因には複数の要因が
関係していて、結合組織構造・姿勢に関する習慣・筋緊張の異常・弱い筋力が関連し
て、結果的に関節を収縮させて固着させている可能性がある。
(2001年3月)
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