LIM-K1ノックアウトマウスにおける異常な脊柱形態とLTPの亢進



Abnormal Spine Morphology and Enhanced LTP in LIMK-1 Knockout Mice.

Meng Y, Zhang Y, Tregoubov V, Janus C, Cruz L, Jackson M, Lu WY, MacDonald JF, Wang JY, Falls DL, Jia Z.
Program in Brain and Behavior, The Hospital for Sick Children, 555 University Avenue, M5G 1X8, Toronto, Ontario, Canada
Neuron 2002 Jul 3;35(1):121-33

試験管内の実験により、コフィリンのリン酸化調節及びアクチン動力学におけるLIMキナーゼファミリーの役割が判明した。さらに、LIM-K1の発現異常は、視空間認知の障害が顕著に見られるウィリアムズ症候群に併発する。しかし、生体内におけるこのキナーゼファミリーの機能は未解明である。我々はLIM-K1をノックアウトしたマウスを使い、生体内においてLIMキナーゼファミリーがコフィリンとアクチン細胞骨格筋(actin cytoskeleton)の調節に果たす役割を解明した。さらに、ノックアウトマウスは脊柱形態とシナプス機能に顕著な異常を示した。これには、海馬の長期増強効果の亢進(enhanced hippocampal long-term potentiation)が見られた。ノックアウトマウスには恐怖に対する反応と空間学習に変化が見られた。これらの結果は、LIM-K1は脊柱の樹枝形態発生と脳の機能に決定的な役割を果たしていることを示唆している。

(2002年8月)



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