先天性後側弯症を伴うWilliams症候群の1例
都丸 倫代、種市 洋、稲見 聡、並川 崇、竹内 大作、岩井 智守男、加藤 仲幸、野原 裕
獨協医大整形外科
関東整形災害外科学会雑誌 第43巻第4号 319ページ(2012年8月)
症例:9歳女児。38週5日に1,936g、胎児仮死で出生。大動脈弁上狭窄、両側性肺動脈末梢狭窄、妖精様顔貌にてWilliams症候群が疑われ、染色体検査にて画定診断となった。同時に先天性後側弯症を指摘され、当科受診となった。身長110p、体重17s、rib hump左15o、C7 plumb line deviation右2cm。脊柱変形はT9-13で46°の側弯、T10-12で51°の後弯があり、T11椎体は非対称性butterfly vertebraであった。手術では、強固なfoundation作成のため、あらかじめ椎弓根スクリューをT8-9、T12-L1に設置した。7ヵ月後にposterior vertebra column resection(PVCR/T11)併用の後方矯正固定術を行い、術後側弯T8-L1が16°、後弯T8-L1が+1°に矯正され、術後3年現在、instrumentation failureや変形進行なく経過良好である。Williams症候群は1961年Williams JCにより初報告された7q11.23欠損の遺伝病である。整形外科的疾患としては、外反母趾、第5斜指症は高頻度であるが、脊柱変形に関する報告は少なく、発生頻度や特徴的な変形のパターンなどは不明である。特にWilliams症候群に合併した先天性脊柱変形の報告は渉猟し得た範囲では皆無であった。
(2013年5月)
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