骨粗しょう症と骨折の自然歴を有する12歳のウィリアムズ症候群の女性患者に対する効果的なデノスマブによる治療:症例報告
Efficacy of denosumab therapy for a 12-year-old female patient with Williams syndrome with osteoporosis and history of fractures: a case report.
上原 将志1)、中村 幸男2)、鈴木 武人3)、酒井 典子4)、橋 淳1)
Author information:
1)信州大学医学部運動機能学(整形外科)
2)信州大学医学部運動機能学(整形外科) yxn14@shinshu-u.ac.jp
3)東京家政学院大学人間栄養学部人間栄養学科
4)長野県立こども病院整形外科
J Med Case Rep. 2021 Dec 15;15(1):594. doi: 10.1186/s13256-021-03175-9.
背景:骨密度の低下はウィリアムズ症候群患者で共通的にみられる。しかし、ウィリアムズ症候群患者の骨粗しょう症に対する適切な治療管理はまだ確立されていない。12歳のウィリアムズ症候群の女性患者で、骨粗しょう症をデノスマブで治療した症例を報告する。
症例の症状:骨密度の極度の低下を呈した12歳のウィリアムズ症候群の日本人女性患者。二重エネルギーX線吸収測定法を用いて、治療前と治療開始後5,9,17,23,29か月の時点の骨密度を計測した。29か月間のデノスマブによる治療の後、 腰椎と大腿骨近位部(total hip)の骨密度の値はそれぞれ51.6%と37.6%だった。経過観察機関に新たな骨折はなかった。
結論:我々が知る限り、骨粗しょう症を併発するウィリアムズ症候群の患者に対するデノスマブによる治療経験は初めてである。我々が得た知見によれば、デノスマブは骨粗しょう症を併発するウィリアムズ症候群の患者への効果的な治療オプションである。
(2021年12月)
目次に戻る