ウィリアムズ症候群:45例の口腔所見



Williams syndrome − oral presentation of 45 cases

Jack Hertzberg,DMD Leila Nakisbendi,DMD Howard L.Needleman,DMD Barbara Pober, MD
Pediatric Dentistry July/August 1994 Volume 16, Number 4, Page 262-67

45人のウィリアムズ症候群患者に対して口腔内の異常を調査した。患者の平均 年齢は9.25歳で、 中央値は6.7歳、過半数(62.2%)が男子であった。患者の 11.1%に歯の形成不全を認めた。歯の形態 異常は、乳歯の12.5%、永久歯の40.7%にみられた。男子の下顎乳中切歯を除く、すべての切歯の近遠 心幅径は、標準に比べて統計学的に有意に小さかった(P<0.05)。少なくとも1歯にエナメル質 形成 不全を認める者は、乳歯で9.4%、永久歯で18.5%あった。エナ メル質形成不全が全歯に及んでいる 者はみられなかった。患者の半数以上(59.1%) は,う歯も修復歯もなく(う蝕経験がなく)、 臨床的にう蝕 が進行していたのは13.6%だけであった。調査した患者の67.7%に舌突出が見られ、 歯間空隙の大きな患者が50%以上いた。Class IIやIIIの不正咬合・開咬・過蓋咬合・前歯部交差 咬合の発生率は通常より高かった。ウィリアムズ症候群特有の歯科的所見はみあたら なかったが、 以下の2つの所見群がそれぞれ3分の1の被験者にみられた。
  1. 矮小歯・前歯部交差咬合・舌突出・歯間空隙拡大
  2. 矮小歯・開咬・過蓋咬合・歯間空隙拡大
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大阪大学歯学部付属病院障害者歯科治療部の秋山茂久さんに訳を手伝っていただきました。

(1999年4月)

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