Williams症候群児の歯科的所見
深井 貴子・丸川 依子・大黒 博司・加藤 一生・森崎 市治郎
大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部
障害者歯科 第15巻 第3号 260-265ページ(1994年10月)
Williams症候群は、精神遅滞、発達遅延、心臓血管の奇形、乳児高カルシウム(Ca)
血症などを徴候とする稀な疾患であり、その容貌が妖精を彷彿させることからElfin Face
(妖精様顔貌)症候群とも呼ばれる。その発生原因については、染色体異常とする説や、
ビタミンDの代謝異常あるいはカルシトニン低値による高Ca血症であるとする説などが
あるが、未だ明らかにはされていない。本症候群の頭部・顎・顔面と口腔領域の特徴とし
て、広い前額、太い眉、丸く垂れた頬、幅広で低い鼻根部、内眼角贅皮と眼間狭小をはじ
め中顔面の発育不全、長い人中や厚く翻転した口唇、歯についてはエナメル質の低形成、
矮小歯あるいは欠如などが報告されている。しかし、本邦での歯科領域での報告は見当た
らない。
今回われわれはWilliams症候群女児について、顔面および口腔の診査と抜歯乳歯の組
織学的検索を行い、既報の口腔所見の追認に加え、乳歯象牙質に組織学的に特異な構造物
の存在を確認したので報告する。
(1999年4月)
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