ウィリアムズ症候群における歯科面の特徴:臨床及びX線撮影による評価



Dental characteristics in Williams syndrome: a clinical and radiographic evaluation.

Axelsson S, Bjornland T, Kjaer I, Heiberg A, Storhaug K.
Department of Orthodontics, Faculty of Dentistry, University of Oslo, Oslo, Norway. stefan@odont.uio.no
Acta Odontol Scand. 2003 Jun;61(3):129-36.

ウィリアムズ症候群は稀少な先天性症候群であり、特有な頭蓋顔面部の特徴・循環器系異常・精神遅滞を含む行動面の特徴などを有する。これまでの文献では歯科異常にはほとんど注意が払われてこなかった。本研究はウィリアムズ症候群患者の歯科面の特徴を記述することを目的とする。41人の10歳以上の患者グループにおいて、一本以上の永久歯歯牙無形成が40.5%に見られ、永久歯歯牙無形成が6本以上ある患者は11.9%であった。12歳以上の患者から採取した31個の歯型を用いて、永久歯歯冠の近遠心方向及び唇舌方向の寸法を計測した。近遠心方向および唇舌方向の両サイズとも比較サンプルに比べて有意に小さかった。同じ歯型に対して歯科形態学的分析を行った結果、歯の形態が変形していることが判明した。上顎および下顎の切歯は漸減した、すなわち「ねじ回し」に似た形状をしていることが非常に多い。下顎の永久歯臼歯に対して、歯冠-本体/歯根比(crown-body/root ratio)を測定することでタウロドンティズム(taurodontism:雄牛歯)に関する調査を行った。しかし、タウロドンティズムに分類される臼歯の大半は、全歯長(total tooth length)が短いか極端に短い範疇にあり、標準的な定義に合致しないタウロドンティズムに位置付けられる。本研究結果は、ウィリアムズ症候群患者の歯牙発達にはばらつきがあるものの、永久歯歯牙無形成・歯のサイズや形状の異常が、歯の審美性、および複雑な歯科矯正や補綴処置に影響を与えていることを示唆している。

(2003年7月)



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