ウィリアムズ症候群における歯周部状況:8症例
Periodontal conditions in Williams Beuren Syndrome: A series of 8 cases.
Joseph C, Landru MM, Bdeoui F, Gogly B, Dridi SM.
Dept. Dentistry, Albert Chenevier-Henri Mondor Hospital, Paris 5 Rene Descartes, University, France. drclarajoseph@hotmail.com.
Eur Arch Paediatr Dent. 2008 Sep;9(3):142-7.
背景:ウィリアムズ症候群は遺伝的結合組織疾患であり、7q11.23部位の微小欠失とエラスチン遺伝子のハプロ不全が原因である。妖精様顔貌、認知機能の変質、単独大動脈弁上狭窄を含む循環器系疾患が最も多い特徴である。これまでに数多くの臨床知見が報告されているが、頬側口腔(buccal cavity)に関するものはない。驚くべきことに、全てが弾性繊維ネットワークで構成されている歯肉に関する調査も行われていない。ウィリアムズ症候群の患者が健康な人に比べて歯周病になりやすいかどうかを明らかにすることは、歯周病が循環器系に有害な影響を与える可能性があることからも、非常に重要である。
方法:この問題に取り組むに当たって、ウィリアムズ症候群患者8人(年齢は5歳から8歳)の口腔所見(歯科検査、歯周検査(歯肉表現型、プラークコントロール記録、歯肉炎指数、歯槽骨の質))を調査した。
結果:全患者に口腔機能障害があった。歯数の異常と不正咬合である。歯肉高と幅の平均値は正常値よりも大きい。プラーク指数は一人を除いて常時非常に高いが、歯肉炎は臨床的プラーク指数の量とは相関がない。明白な結合組織付着の喪失はみられない。
結論:コラーゲンとともに、エラスチンは歯肉を構成する構造高分子である。これらの構成要素は歯肉機能や日常的な侵襲から歯根膜を保護することに重要な役割を担っている。コラーゲン繊維束異常をもたらす遺伝子病とはことなり、本調査結果はエラスチンをコードする遺伝子の半接合欠失が歯周病にはつながらないことを示唆している。さらに、エラスチン遺伝子のハプロ不全と歯周表現型には一致が見られる。これは遺伝子欠乏に適応するプロセスの存在を示唆している。
(2008年9月)
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