ウイリアムズ症候群2例の歯科的特徴および臨床的対応



山口 登、大隅 由紀子、山座 治義、増田 啓次、西垣 奏一郎、柳田 憲一、野中 和明
九州大学大学院歯学研究院小児口腔医学分野
九州大学病院小児歯科
小児歯科学雑誌 50(3);256−263 2012年

本稿では、九州大学病院小児歯科受診中のウイリアムズ症候群2例の歯科的特徴および臨床的対応について報告する。両症例の患児は、ともに肺動脈狭窄、精神発達遅滞を認めた。歯科的所見では、エナメル質形成不全、前歯部反対咬合および歯の先天欠如が見られた。症例2では、セファロ分析の結果、下顎骨が前上方へ誘導され反対咬合となっていた。また、効果的な口腔清掃の習得が困難であり、これは同疾患の特徴である空間認識・微細運動の機能障害によるものと考えられる。今後、症例2の所見を参考としながら、症例1での臨床的対応を検討していく必要性が示唆された。すなわち、症例1では齲蝕および歯周疾患の予防に努め、顎顔面部の成長分析により咬合誘導をはかる必要がある。

(2013年6月)



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