ウィリアムズ症候群患児の口腔所見と歯科治療



Oral Findings and Dental Treatment in a Child with Williams-Beuren Syndrome.

Torres CP(1), Valadares G(1), Martins MI(1), Borsatto MC(1), D?az-Serrano KV(1), Queiroz AM(1).
Author information:
(1)Department of Pediatric Clinics, Dental School of Ribeir?o Preto, Universidade de S?o Paulo, Ribeir?o Preto, SP, Brasil.
Braz Dent J. 2015 May-Jun;26(3):312-6. doi: 10.1590/0103-6440201300335.

ウィリアムズ症候群(あるいはウィリアムズ−ビューレン症候群)は希少先天性疾患であり、循環器系の異常、精神遅滞、特有の顔貌特徴や歯の異常を合併する。染色態q11.23領域にあり1.5から1.8Mbの超顕微鏡的欠失を原因とする。本論文はウィリアムズ症候群の7歳児の歯科治療に関する報告である。問診を行ったところ、視覚異常、感音性難聴、聴覚過敏、羞明(まぶしがり)、嗄声も明らかとなった。口腔内臨床検査の結果、前方開咬、弄舌癖(舌の突き出し)、過度の歯間間隙、切歯のエナメル質形成不全、形成不全と齲病変歯が認められた。歯科治療として、音に対する嫌悪感、羞明、敏感な視覚がないことからくる歯科治療に対する恐怖や不安などを克服する調節セッション、口腔衛生指示、0.05%のフッ化ナトリウムを含むうがい薬の毎日の利用、左下顎の第一永久大臼歯の歯内治療、上顎及び下顎の第一大臼歯に対するアマルガム装填を行った。患者には心臓疾患があるため、歯科治療に先だって予防的に抗生物質の投与計画が処方された。本患者は4年間の経過観察を行っており、この症例はウィリアムズ症候群患者を持つ親に対して早期の歯科検診とカウンセリングの重要性を強調している。

(2015年8月)



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