ウィリアムズ症候群と孤立性口蓋裂を併発した患者に対する歯科矯正治療と上顎前部仮骨延長:5歳から24歳までの長期経過観察
Orthodontic Treatment and Maxillary Anterior Segmental Distraction Osteogenesis of a Subject with Williams-Beuren Syndrome and Isolated Cleft Palate: A Long-Term Follow-Up from the Age of 5 to 24 Years.
山口 徹太郎1, 代田 達夫2, Adel M1, 高橋 正皓1, 芳賀 秀郷1, 長濱 諒1,中島 還1, Furuhata M1, 鎌谷 宇明2, 槇 宏太郎1.
1)昭和大学歯学部歯科矯正学講座
2)昭和大学口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門
Case Rep Dent. 2017;2017:7019045. doi: 10.1155/2017/7019045. Epub 2017 Jul 4.
ウィリアムズ症候群は染色体7q11.23に存在するエラスチン遺伝子の半接合欠失を原因とする希少多系統疾患である。ウィリアムズ症候群の患者は特有の骨格特徴や歯科異常に加えて、精神遅滞、友好的外交的性格、経度から中程度の知的障害や学習障害を呈する。本症例報告は孤立性口蓋裂を併発したウィリアムズ症候群患者に対して行った歯科矯正と外科手術を合わせた治療、およびその後の5歳から24歳までの長期経過観察である。積極的な治療を行なった期間には、上顎前部仮骨延長と歯科インプラントを用いた補綴治療を組み合わせた包括的歯科矯正治療が効果を発揮し、患者の不正咬合を劇的に改善した。患者の精神力および患者とその家族による協力的な姿勢は、この複雑で長期間にわたる治療コースが成功する重要な要素であった。
(2017年8月)
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