ウィリアムズ症候群とそれに伴う大動脈弁狭窄症および僧帽弁閉鎖不全症を有する先天性多数歯欠如症例



富永 淳也(1), 小原 悠, 尾崎 博弥, 山岡 智, 橋本 文生, 古賀 義之, 吉田 教明
(1)長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科展開医療科学講座歯科矯正学分野
九州矯正歯科学会雑誌 (1880-9596)13巻1号 Page1-6(2018.03)

患者は初診時年齢9歳2ヵ月の男児で、転倒した際に顔面を強打し、上顎両側中切歯が陥入したため、かかりつけの歯科医院を受診した。ただちに長崎大学歯学部附属病院口腔外科を紹介され、両側とも脱臼させ再植・固定を行った。その後、受診は途絶えたが、約13年後に当院矯正歯科を受診した。その時点では、上顎右側中切歯が脱落しており、パノラマエックス線写真にて他の永久歯も多数欠如していることが確認された。先天異常を疑い、遺伝子診断を行ったところウィリアムズ症候群と診断された。歯科矯正用アンカースクリューを併用し、マルチブラケット装置による治療を行った。動的治療期間は2年4ヵ月で、保定開始から4年経過するもほぼ良好な咬合を維持している。

(2020年3月)



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