ウィリアムズ症候群患者の歯牙頭蓋顔面特徴に関する臨床研究



資料番号3-6-46(ウィリアムズ症候群患者の歯牙頭蓋顔面特徴に関する臨床研究)と同じ対象に対しての研究と思われます。

(2020年4月)

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Clinical study of dentocraniofacial characteristics in patients with Williams syndrome.

浅見 拓也、辻 美千子、庄司 あゆみ、疋田 理奈、馬場 祥行、森山 啓司
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東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面頸部機能再建学講座顎顔面矯正学分野
Orthodontic Waves-Japanese Edition (1349-0303)77巻1号 Page9-16(2018.03)

Williams症候群(WS)は、特異的顔貌、先天性心疾患、精神発達遅滞、高い社交性等の臨床的特徴を有する発生頻度が稀な常染色体優性遺伝の遺伝子欠失症候群であるが、顎顔面形態および口腔内の特徴について詳述した臨床研究はいまだ少なく、今回われわれはWS患者の歯科的特徴に関して検討を行ったので報告する。WS患者9例の初診時資料を用い、全身的所見、顎顔面形態、不正咬合の特徴、歯列弓幅径および歯冠近遠心幅径、先天性欠如歯の発現頻度と部位について検討し、以下の結果が得られた。1.WS全9例で特異的顔貌、先天性心疾患、精神発達遅滞、高い社交性など特徴的な所見を認めた。2.上下顎骨の位置はともに後方位の傾向を示し、上顎切歯の唇舌的傾斜は平均的であったが、下顎切歯は舌側傾斜していた。3.第一大臼歯の咬合関係は治療中の1例を除く全8例中6例がClass II、2例がClass Iであった。4.歯列弓幅径は上下顎ともに狭窄を認め、歯冠近遠心幅径は、上下顎中切歯、第一大臼歯において小さい値を示した。形態異常歯は全9例に認めた。5.先天性欠如歯の部位別発現頻度は、下顎側切歯(31.0%)、上下顎第二小臼歯(いずれも17.2%)の順に高かった。先天性欠如歯の発現頻度は77.8%、一人当たりの先天性欠如歯数は3.2本であった。以上より、本症例のWSにおいて、第一大臼歯のII級咬合、上顎歯列弓幅径の狭窄を認め、これらは今回新たに明らかになった所見であり、矯正歯科治療にあたっては留意する必要があると考えられた。



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