Williams症候群患児の下顎左側第二大臼歯の異所萌出を咬合誘導にて改善した一例



太刀掛 銘子1),中野 将志1),秋友 達哉2),岩本 優子2),浅尾 友里愛2),光畑 智恵子2)
著者情報
1)広島大学病院口腔健康発育歯科小児歯科
2)広島大学大学院医系科学研究科小児歯科学
日本障害者歯科学会雑誌 43巻(2022)2号 p. 129-136

Williams症候群は,臨床的特徴として妖精様顔貌,知的能力障害,大動脈弁上狭窄および末梢性肺動脈狭窄を主徴とする心血管病変などが報告されている。また,聴覚過敏や不安・恐怖症も本症候群に特徴的とされている。今回われわれは,本症候群患児の?7の異所萌出を咬合誘導にて改善した経過について報告する。

患児は10歳3カ月女児で,知的能力障害,小顎症,大動脈弁上狭窄,心室中隔欠損症,肺動脈弁狭窄症,妖精様顔貌を認めた。う蝕治療および乳歯抜去を主訴に来院した。レストレイナー?による体動コントロールと亜酸化窒素吸入鎮静法を用いてう蝕治療および乳歯抜去を行い,その後は定期的な口腔内管理を継続していた。11歳7カ月時に,?7の異所萌出を認めたため,当院歯科麻酔科および口腔外科と連携を取り,経口投与鎮静法下にて?7の開窓術および?8の抜去を行った。12歳11カ月時に?7咬合面にリンガルボタンを装着し,?7遠心部に伸ばしたワイヤーを付与したリンガルアーチ型の装置を装着し,エラスティックチェーンにて遠心へ移動した。その後ブラケットにて改善を行い,13歳8カ月時に装置を撤去した。

知的能力障害などを伴う場合,協力度の問題から咬合誘導が難しい場合があるが,本症例は定期的な口腔内管理を継続したことで,患児の歯科に対する恐怖心が軽減し,簡便な装置を利用することで?7の異所萌出のアップライトによる改善を行うことができた。

(2023年1月)



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