逆さまつげ



小学校2年生の紘輔の「逆さまつげ」の歴史(?)をお話しします。生まれた直後 からずっと、ウイリアムス症候群特有の腫れぼったい目をしていました。目やにが多くて、 ひどいときには朝起きた時に、目やにで上下のまぶたがくっついてしまい、目が開かない などという事もめずらしくありません。涙目でもあり、泣いてもいないのに、まばたきを すると涙があふれ出ることもありました。眼科で見てもらって、鼻涙管が詰まっているの ではないかという疑いで、片側だけ細い棒を鼻涙管に通してみるようなこともやってみま したが、無駄でした。(今になってみれば、この処置はやらないほうがいいと感じていま す。)結局、下まぶたのまつげが眼球に触れているのが原因だろうということでした。目 の下が腫れぼったいために、普通に生えているまつげでも目に入ってしまうようです。私 が見ても、確かにまつげが目の表面に張り付いていました。

小さいうちはまつげが柔らかいので、逆さまつげでも痛くないし、目の表面を傷つけ る事もなく、すこしまぶしく感じる(乱反射のため)程度だそうです。成長とともに治る 事が多く、そのまま様子を見ることになりました。

幼稚園の年少組に入る頃になっても、逆さまつげは治りませんでした。そろそろ、 まつげが固くなってきて、目の表面を傷つける可能性があるので、手術をすることになり ました。手術といっても、下まぶたを二重にするような感じで、両下まぶたのまつげに沿 って凹みをつくり、まつげを引き起こすすようなものです。普通なら、外来で局所麻酔で 行なえるような簡単な手術だそうですが、心臓の疾患(軽いですが)もあるので、結局入 院して、循環器の医者と連絡を取りながらの全身麻酔になりました。3才8ヶ月の時で、 循環器科・眼科・内科・泌尿器科・遺伝科・歯科などすべてを見てもらっていた千葉こど も病院で手術が行われました。

3日ほどで退院できて、それ以後、下まぶたが二重になりました。ちょっと見た所 では、ほとんど手術前と変わりません。ひどい目やにが出る事もなくなりました。手術を して5年になりますが、下まぶたが腫れるなどということもありませんでした。涙目も治 ったようです。若干の後遺症(?)は、寝ていることきでも上下のまぶたの間に少し隙間 があいていて、細目をあけているように見えることです。3つ上の兄が気味悪がっていま した。

ウイリアムス症候群で逆さまつげの手術をした子供は、私達が知る限り紘輔だけで す。逆さまつげがあっても、成長するに連れて治るようですので、小さいときはあまり心 配することはないと思います。ただ、遠視・斜視・乱視など、視力に関しても合併症があ りますので、眼科医には必ず相談されることを勧めます。紘輔も強度の遠視で、2才頃か ら眼鏡をかけ始めました。

(1997年8月 杉本 雅彦)



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