ウィリアムズ症候群の幼児における視覚及び空間視能力発達



Visual and visuospatial development in young children with Williams syndrome

Atkinson J, Anker S, Braddick O, Nokes L, Mason A, Braddick F.
Department of Psychology, University College London, UK. j.atkinson@ucl.ac.uk
Dev Med Child Neurol 2001 May;43(5):330-7

本研究はウィリアムズ症候群の子どもの大規模なグループを対象に視知覚に関する問題と 空間視能力障害の程度との関係を調査した。108人のウィリアムズ症候群の子どもの家族に、 視覚とそれに関連する障害に関する質問票を記入してもらい、そのなかの73人(平均年齢 7才3ヶ月、男児40人、女児33人)に対して視覚・空間認知・運動機能・視覚認知・言語 を含むテストを使った詳しい調査を行った。ウィリアムズ症候群の子どもは正常な発達を している子どもに比べて、小児視知覚障害(斜視・視力低下・弱視・立体視力低下)の発 生頻度がかなり高い。実施した全てのテストについて、年齢別の発達めやすに対する遅れ は年齢が高くなるに連れて大きくなる。視覚の障害と空間視障害の程度の間には顕著な相 関はみられなかった。これはウィリアムズ症候群の子どもが持つ空間配置認知の障害は、 単に先行する視覚障害が原因ではないことを示唆している。テストの結果、ウィリアムズ 症候群の子どもの空間視能力と言語能力の間の解離があることが確認され、また、ウィリ アムズ症候群の子どもの背側経路処理には広範な障害があり、視覚情報の腹側経路と背側 経路処理が分離されているという神経生物学的モデルを支持するものであった。

(2001年7月)



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