ウィリアムズ症候群と正常に発達したヒトにおける奥行き感覚に関する知覚と行動



Perceiving and acting in depth in Williams syndrome and typical development.

Hudson KD(1), Farran EK(2).
Author information:
(1)Department of Psychology and Human Development, Institute of Education, UK.
Electronic address: k.hudson@ioe.ac.uk.
(2)Department of Psychology and Human Development, Institute of Education, UK.
Res Dev Disabil. 2014 Apr 29. pii: S0891-4222(14)00162-0.

神経発達疾患であるウィリアムズ症候群の患者は、道路を横切ったり物体に手を伸ばして触れるなどの奥行き感覚に関する処理と行動に困難があるとしばしば報告されている。しかし、ウィリアムズ症候群における深視力と奥行き感覚に関する行動を直接理解し、深視力に関する障害が眼性によるか認知経路によるものなのかを理解することを目的とした研究はほとんど行われていない。本研究はウィリアムズ症候群における立体視(両眼、三次元視力)と奥行き感覚に関する行動に存在する障害の範囲と関係を評価することを目的とし、非言語的能力を一致させた正常に発達した被験者と比較した。立体視力は正常群では年齢相当だったが、ウィリアムズ症候群では正常群の3歳児レベルであった。ウィリアムズ症候群の三分の一は立体視を行っている証拠がみられなかった。単眼による奥行き感覚に基づく行動では、正常群とウィリアムズ症候群で差は見られない。両眼による奥行き感覚に基づく行動では、立体視ができないウィリアムズ症候群のグループは、正常群や立体視を行っているウィリアムズ症候群のグループに比べて有意に成績が悪い。立体視力と奥行き感覚に関する行動との相関を評価したところ、立体視力は立体視を行っているウィリアムズ症候群における両眼による奥行き感覚に基づく行動と負の相関がみられたが、正常群とにはみられない。このことから、ウィリアムズ症候群の単眼深視力知覚に障害はないが、両眼深視力認知と行動に有意な障害を示す。重要なことは、両眼視状態における、奥行き感覚に関する行動がウィリアムズ症候群の立体視の障害を大規模スクリーニングすることに有益である可能性がある。ウィリアムズ症候群の深視力認知障害を治療することで、立体視の弱点を補償するための単眼手がかりを理解することにつながる。

(2014年5月)



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