無症候性副鼻腔症候群とウィリアムズ症候群:ある小児患者に診られた2種類の稀少疾患



Silent Sinus Syndrome and Williams Syndrome: Two Rare Diseases Found in a Pediatric Patient.

Petraroli M(1), Riscassi S(1), Panigari A(1), Maltese M(1), Esposito S(1).
Author information:
(1)Pediatric Clinic, Department of Medicine and Surgery, Pietro Barilla Children's Hospital, University of Parma, Parma, Italy.
Front Pediatr. 2020 Apr 28;8:211. doi: 10.3389/fped.2020.00211. PMID: 32411639; PMCID: PMC7198876.

無症候性副鼻腔症候群は、同側性上顎洞形成不全と眼窩底の吸収を原因とする進行性の眼球陥没と眼球眼窩内下方変異(hypoglobus)を特徴とする稀少な進行疾患である。この症候群の患者は眼の左右非対称、片側性眼瞼下垂、二重視などを併発することがある。本症候群の症例報告のほとんどは成人であるが、子どもでも発症する可能性はある。本症の原因は推測の域を出ないが、生後10年から20年の間に発生した上顎小孔(maxillary ostium)の閉塞が正常な副鼻腔の発達を妨げているという理論が最も受け入れられている。ウィリアムズ症候群は稀少な遺伝子疾患であり、一連の特徴的な表現型が複数の臓器に見られる症候群で、 精神運動性遅滞や循環器系異常を伴う。本報では、1歳時点でウィリアムズ症候群と診断され、その後徐々に無症候性副鼻腔症候群を発展させた7歳の女児の症例を報告する。今回報告する最新の症状は、彼女がウィリアムズ症候群特有の顔貌に加えて、顔貌の左右非対称性を呈し始めた7歳時点で診断されたものであり、その後行われた神経画像検査で最終的に確定診断された。本症例報告は無症候性副鼻腔症候群とウィリアムズ症候群という2種類の稀少疾患でみられる珍しい症状が同一の小児患者に合併したことを初めて文献で報告するものである。本患者が7歳時点で呈している症状から見て、ウィリアムズ症候群特有の顔貌特徴のどれかの症状が無症候性副鼻腔症候群の発展の基礎をなしているか、無症候性副鼻腔症候群の臨床症状の重症度を上げているかのどちらかであると我々は推測している。本症例報告はウィリアムズ症候群における顔貌非対称性が無症候性副鼻腔症候群の原因となっている可能性を初めて示唆するとともに、顔貌異形症状を特徴とする症候群を呈する患者におけるこの症状を早期に同定することの必要性に焦点を当てる。ふたつの症候群の間に何らかの関係があるかどうかを理解するとともに、顔異形を呈する患者における無症候性副鼻腔症候群の発症率を評価して最適な治療方法を探し確定するために、さらなる研究が必要である。

(2020年5月)



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