発達遅延の子どもにおける斜視の外科的治療:文献と個人的経験結果のレビュー
Surgical Treatment of Strabismus in Children With Developmental Delay: A Review of the Literature and Results of Personal Experience.
Vagge A, Lembo A, Nucci P.
J Pediatr Ophthalmol Strabismus. 2024 Dec 2:1-9. doi: 10.3928/01913913-20241001-01. Online ahead of print.
目的:現在の文献をレビューし、発達遅延患者の斜視手術に関する基礎知識を提供し、著者の個人的経験からの結果を提示すること。
手法:PubMedで検索した用語は、斜視手術、精神遅滞、発達遅延、ダウン症、アンジェルマン症候群、脳性麻痺、水頭症、ウィリアムズ症候群、脆弱X症候群、胎児性アルコール症候群である。手術結果を分析して議論した。英語の論文のみを対象とした。2001年から2020年にかけて斜視矯正手術を受けた発達遅延患者183人のカルテを調査し、議論した。
結果:論文をレビューおよび分析し、疾患に基づいて分類した。著者らの経験には、様々な疾患あるいは症候群の患者183人が含まれていた:44人のダウン症候群、40人の胎児性アルコール症候群、36人のウィリアムズ症候群、9人の脆弱X症候群、12人のアンジェルマン症候群、11人のコーエン症候群、31人の脳性麻痺である。経過観察中の3か月後および18か月後での手術結果を分析した。内斜視手術に関しては、経過観察3か月で83.9%、18か月で53.8%がプリズムジオプトリーの偏向が8未満であった。3ヶ月と18ヶ月でそれぞれ7.7%と3.5%に過小矯正が見られ、8.4%と52.7%に過剰矯正が観察された。外斜視の場合、プリズムジオプトリー8未満の偏向の割合は、3か月で60%、18か月で22.5%だった。過小矯正はそれぞれ35%と75%で発生した一方で、過剰矯正は5%と2.5%で見られた。
結論:これらの患者では斜視の有病率が高く、手術結果の予測がより困難であった。内斜視の患者は過剰矯正傾向だったことに対し、外斜視の患者は過小矯正傾向が大きかった。
(2024年12月)
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